軍師と女忍、未来を繋ぐ

「そういうことなら取り敢えずルークに心配はいらないでしょうね。とは言え顔を出して表向きに行動出来ないことを考えると少し不憫に思いますから、何か欲しいものがあるのであれば言うようにと貴女から言ってあげてください。今のような立場にしたのは安全の為とは言え私ですから、何度もは立場上は無理ですし甘えに繋がるといけませんが一度差し入れくらいはすると言ってください」
「分かりました。伝えておきます」
それで孔明がならと差し入れについて伝言を頼むと、アニスは特に反論するような物ではなかった為にすんなり頷いて返す。









・・・そんな風に開墾の為の政策を取りつつ日常を過ごしていった孔明達だが、一週間の後に借金返済の為に開墾に向かう人々もそうだがそれ以外の人々もそこに参加する形で開墾の予定地に向かっていった。これは良識を持ち合わせていて借金はしていないものの、預言を詠まれなくなったことで仕事にあぶれた者達がならそこで働くという形で参加することにしたのが多かったと見られている。

そんな事情に関してはともかくとしても、開墾の人員は確保出来た上で後々に厄介ごとの種になりかねない人物達も隔離出来た。一石二鳥とはこの事だが、預言復活を願い影で慎重に行動する者も少なからず存在していた・・・これは流石に教団の本拠地であるダアトでそうそう易々と預言を諦めきれない上に、他の似たような者達がことごとく失敗してきたのを踏まえて更に慎重になっていったのだろう。

しかしそういった影に対するのは、同じく影にいる者・・・孔明の近くにいることは珍しくはないが、厳密には神託の盾所属ではないくのいちが立場など関係無く自由に動いて観察をしてきたことで敢えなくその者達はことごとく証拠を押さえられ、御用となっていった・・・これは当然と言えば当然だ。そんな者達は影に隠れきっていたつもりだろうが、くのいちはそんな影の中でも足元すらも見えるかどうかも怪しい程の闇の中を知り活動している者だ。元々は影に入ることなく日向にいることが当たり前で、そんな居心地のいい日向を取り返すためだけに影に入ったにわか者にくのいちが遅れを取るなど有り得る筈もなかった。

そうして内外ともに不安要素を消していって人の数は減ったダアトではあるが、それでも孔明を始めとしてやるべきことをやっていったダアトは預言を詠んでいた頃とは違う形での運営がされていき、モース達を排除してから三年の時が経った・・・









「・・・ぶっちゃけた話として、端から見たら独裁政治を行ってるみたいな風に叫べる人がいたら結構危なかったかもしれないんだよね~。確かに預言関連を諦めきれない人達だったりを放っておくわけにはいかなかったから色々やってきたけど、言ってみたら意見の封殺をしてるようなもんでしたし」
「その辺りは導師の性格や見た目だったりに助けられた部分はあるでしょうね。もし考え方が我々に寄ったモースだったなら彼の性格上、反対するなら全員牢屋送りだくらいは平然と言い出しそうでしたからね」
「あ~、旦那様もそう言うだろうな~。と言うか結構似通っている人物を前に知ってたみたいに言ってましたもん。もう今の位置に行く前にはいなくなったようですけど」
「その方がいいでしょうね。暴君などいない方がいい」
・・・そして時間は戻り、くのいちとディストの二人の場。
そこでしみじみと話をする中でくのいちが出したモースが孔明の知る人物に似てるという言葉に、ディストも辛辣な言葉で同意する。モースもそうだが、その人物・・・董卓に対して暴君などいるべきではないと。









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