軍師と女忍、未来を繋ぐ

「じゃあちょっと話題を変えるけど、導師守護役からこっちに移って困ったことってない?私はユリアシティにしばらくいたし戻ってきてからあまり時間が取れなかったんだけど、どう?」
「それは問題ないです。導師守護役とはちょっと勝手は違いますけど、二人に色々と教えてもらいましたからそのおかげで特にこっちの仕事が難しいと思ったことはありません」
「ん~、そう聞くとこっちとしても嬉しくなるね~。けど導師守護役とどっちが楽かって聞かれるとどうなる?」
「報告書を書かなくていいっていうのがあるくらいで、導師守護役の方くらいですね~。スパイしている時の嘘の情報をモースに伝えればそれでいいし、却ってそんな物だからまともな報告書を書くことが望まれないから書かなくていいってなってましたけど・・・嘘をつくのが面倒だってのがありましたから、どっこいどっこいって感じでしたね」
「あぁ、まぁその時は確かに色々と騙さなきゃいけなかったから仕方無いっちゃ仕方無かったね。そりゃ面倒だっていうのは当然か」
そんな空気の中でくのいちが話題転換だと現在の仕事についてを聞いていき、アニスの返しに軽く笑いながら確かにと口にする。前は確かにスパイを表向きモースに向けてやってきたため、演技や嘘をついていたことは確かに手間であっただろうと。
「演技をしなくていいのはいいのですが・・・現在ルークはどうしていますか?半年という期間がありましたが、流石に私の近くに置いてしまうのは様々に考えていけないということから変に接触はしないようにしていたので、貴女の口からお聞きしたいのですが・・・」
「あぁ、そこについては問題ないですよ。本人のやる気の高さもそうですけど事情を知っていてちゃんと教えるべき事を教えていってる人が周りにいるから、メキメキ知識をつけて剣の腕を上げていってるんです。私も剣の試合をする場面は見てたんですけど、もう一般の神託の盾相手じゃ敵いっこないレベルになってますよ」
「ほう・・・それはすごいですね」
それで次にと孔明は人目に付かないように過ごしているルークについてを聞くのだが、アニスから返ってきた成長が伺えると言った話の中身に感嘆の声を漏らす。
「この辺りはルークの資質もあってって所なんでしょうけど・・・ただ惜しいというか、その剣の腕が発揮される場面ってもうないだろうしな・・・武勲を挙げるような事態なんてこれからはそうないだろうし、そもそもを言うなら表向きに顔も名前も出すわけにはいかないから変装はさせても、衆目に晒すわけにはいかないし・・・」
「その事に関して私もちょっと気になったから話してみたんです。剣の腕は上がってるのは分かるけど、それが役立てる日が来るかどうか分からないよって。でもルークはそんな声にいざという時に役に立てればそれでいいけど、俺が姿を見せてまで剣を振るわないといけないくらいの時なんて来ないならそれでいいって答えたんです・・・そんな時が来るんならダアトもそうだけれど、オールドラント自体がすごく危険な状態になってるだろうからそんな時が来るくらいなら平和なままでいい・・・もしその時が来たなら人の命を奪いたくはないけど、自分がやれることをするために腕を磨くんだって」
「へぇ・・・そんな風にルークは考えてくれているんだ・・・」
「そんな事態にさせないようにはしていきますが、そう言ったように考えていてくれているとは・・・頼もしい限りですね」
ただくのいちがやる気と実力に見合う場面が来ないことについてどうかと口にするが、アニスが口にしていったルークの気持ちの吐露に孔明共々感心したような笑みを浮かべた。その純粋でいて強い気持ちを感じさせる決意に。









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