女忍、苦労する

「じゃあ漆黒の翼が来たら大人しく捕まってね~。多分大人しくしてたら向こうもこっちが色々知った上で行動してる事だって気付くだろうし、何ならその事を言っちゃってくれてもいいよ」
「軽いですね・・・でもまぁそういうことなら安心して捕まりますが、導師守護役であるアニスが貴女と一緒にとは言えルーク達と行動することに疑問を彼らは差し挟まないのでしょうか?」
「多分その辺り問題ないと思うよ~。あくまで途中まで付いていくって体で最初は通す予定だけど、タルタロスがあそこを目指すんならある程度順路も似通ってくるだろうからそれを追い掛けるって形にすれば大丈夫だろうし・・・まぁその辺りが心配ならリグレットにでも不自然でない程度に順路を分かるように進むように言っといてくれれば大丈夫だと思うから」
「そうですか・・・ではそう伝えておきます」
それでちゃんと捕まるようにと一見矛盾した事を言うくのいちに疑問を向けるが、大丈夫と強調して打開策も一応授けられた為にイオンも最後に頷く。
「じゃあ明日はこの宿の入口辺りで待っといてね~。迎えに行くから」
「・・・それはいいですけど、それまでどうしてるんですか?」
「ん~、適当に謡将でも見張っとくね。やることがないのは事実だけど、多分謡将の事だから何か表沙汰に出来ないような事を今も進めてる可能性があるし」
「分かりました。じゃあ明日に宿の前で待ってますから」
「うん、じゃあね~♪」
それで待ち合わせについてをアニスに向けて話し了承を得られた所でくのいちは笑顔で手を振ってから一瞬で場から消えていなくなる。









・・・それで忍び込む形で城に入ったくのいちはモースの部屋へと向かう、ヴァンをモースのいる部屋に向かうようにモースが兵士に話を通そうとしていたのを確認している為に。



「・・・来たな、ヴァン」
「はっ・・・」
(おっ♪ちょうどよかった、今来たばかり~♪)
・・・そんな中でモースの部屋に忍び込み陰から様子を伺っていたくのいちは抜群のタイミングの良さに内心だけで楽し気に二人のやり取りを伺う。明らかに険悪な空気を漂わせるモースと申し訳なさげなヴァンのやり取りを。
「まず始めに言わせてもらうが・・・貴様の妹は何なのだ!二年前の件もそうだが、今回の件は特にそうだ!ルークが無事だったからまだよかったものの、もしルークが死んでいたなら全て台無しだったことはお前も理解している筈だ!」
「はい・・・私もまさか、ティアがあのような行動に出るとは思っていませんでした・・・」
「コーメイが気を使って奴の行動がダアトの本意でないと示してなければ、今頃まだ私はインゴベルト陛下達にネチネチと言われていたのだぞ!それをそう思っていなかったで済ませるやつがあるか!」
「・・・返す言葉もございません・・・っ!」
(お~お~♪モースに見えない所で必死に押し隠そうとしてるね~、拳を握り締める形で怒りを♪)
そこから一気に怒りを盛大にぶちまけていくモースに表面上逆らわずに受け答えをするが、ヴァンの拳が力強く握られている様子にくのいちは内心面白いとその光景を見詰める。
「・・・一度目はカンタビレがダアトからいなくなる事からこれが最後とあの女を受け入れてやったが、今回しでかした事についての規模もそうだが何より奴自身どれだけのことをしたのかということを全く理解していない・・・最早奴を生かしておく理由などない。ヴァン、貴様の妹には死んでもらうぞ」
「なっ!?だ、大詠師・・・それは・・・!」
だが次にモースが情けをかける意味などないとばかりに死んでもらうと言い切った事に、ヴァンはやめてほしいと言わんばかりに声を上げる。













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