軍師と女忍、未来を繋ぐ

「・・・先程も申し上げましたよう、他に良い案があるのでしたら却下される可能性を考慮した上でこちらに意見を具申しに来ても構いません。ただ借金を返さないだったり甘く見たりすることもそうですが、この場にいない親族家族に友人の方々などに頼るなどこの場にいない方々への助けを借りたり押し付けようとすることはお止めください・・・貴殿方がどのような理由から借金をされたかは詳しくはお聞きはしませんが、あくまで私を始めとして発案に関わった人々からすれば重要なのは、貴殿方が自らの強い意志を持って借金を返すことです。なのにそういったことが出来ないと言うのであれば、もうこちらはその方々に手を差し伸べるようなことは致しませんのでそこは留意されてください」
‘‘‘‘・・・’’’’
そうして孔明がこれが最後というよう自分達で借金を返すように、それが出来ないなら助けないと真剣に言う様子に人々は黙らざるを得なかった。下手な言葉で何か口を挟むことが出来ないという様子だと感じさせられて。
「・・・とは言え今日今すぐにこの場でどうこう決めるようになどとは申しません。一週間程考えるための時間を設けた上で、同じく一週間後に近隣の土地の開墾について一般の方々にも話をした上で働きたいかどうかという募集をかける予定でいます。ですのでその時に貴殿方がどうするかの意志に関しては私の隣にいる妻へと伝えに来てください。よろしいですね?」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
孔明はそれで考えるための期間を設けつつどう伝えればいいかを羽扇でくのいちを紹介するように向けながら話すと、人々は承知したと言うように揃って頷いた。









・・・それで話は終わったから解散と言うように孔明が言い、人々は部屋を出ていき孔明とくのいちだけが部屋に残った。
「くのいち、貴女はどう見ましたか?」
「二つ目に流れそうな空気を醸し出してるのは何人かいましたけど、それ以外はまず三つ目を選ぶと思いますよ~。この辺りは旦那様の予想通り、よくも悪くも敬虔なローレライ教団の人間って所なんでしょうけど・・・」
「これからの事を思えば敬虔なローレライ教団の人間という部分をいい意味で脱却してもらいたいんですけれどね・・・あのように話をした私が言うのもなんですが・・・」
二人になった所で孔明はくのいちへと先程の人々の反応についてを聞くと、予想通りと返しつつもその予想通りとの様子に二人ともに何とも言いがたそうな表情に変わる。










・・・先程の話に出した選択肢と話であるが、タトリン夫妻もそうであるが多少は分別はあっても人がよくて家族や自分以外に金を使うことに躊躇いのない面々に関して、言い方は悪くとも隔離や区別をするためにした孔明の策である。

今のダアトでは預言復活を切に願う行動派はもう姿は見られない。雌伏の時とばかりに待機している者もいるのは確認されているが、結局は少数で大規模に活動するにはあまりにも弱くか細い者達ばかりでとてもまともな活動など出来はしない規模にある・・・そんな風な状況であり、タトリン夫妻の事があったからこそ孔明は予てより考えていた事に取り掛かることにした。過激派の次にダアトの不安要素になり得る人がいいだけで、預言復活をしてほしいとただ願うだけでろくに自我の強くない思考放棄者達を適所に置く策に。

・・・聞くだけ聞いたなら、非人道的な考えであると思うことだろう。だがこれからの事を考えるなら決してタトリン夫妻のような人物達を何もなしで放っておくような事をしない方がいいと見た上で、新たな仕事の場を作り上げなければならないという事情も相まってそうした方がいいと見たことの合致があったからである。具体的には前にも出てきた驕りたかぶる預言士のような存在を出さない為にだ。









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