軍師と女忍、未来を繋ぐ

「何故その住宅への移住をしてもらうのかという理由に関してですが、皆様ご存じのようにダアトの外を出れば魔物であったり野盗などの存在があります。ただ土地の開墾をすることからそれらに対して神託の盾が開墾をする土地の周囲を警備にあたってはいただきますが、その開墾をする際にわざわざダアトから移動してその場所に行くなど効率的ではありませんし何より道中に全く危険がない訳でもありません。ですので普段の生活をそちらに移してもらうことで様々な手間を省くことになるのです」
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孔明はその理由として主に魔物などの対策があると挙げ、人々はそういうことかといったように感嘆の様子を浮かべる。特に魔物の驚異はダアトの中にばかりいて、戦えない者達にとっては決して無視出来ない問題だった為に。
「勿論そのような形でそこに住んでいただくわけですから、成果が出るまでの住だけではなく衣食に関しての面倒も見させていただきます。ただそうすることを選択する場合は借金の返済を我々が肩代わりする代わりに、貴殿方の給料は借金の返済が出来るまではこちらが徴収することとします」
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「何故だというような反応をされていますが、そもそもこの案は借金に関してをどうにか返済をすることを念頭において考えた物になります。ただそこで貴殿方が自由にお金を使える環境であったり、お金自体が手元にあるような状況に使える状態にあることはあまり借金の返済の為に活動をするには望ましくないと思ったのです。その為に衣食住はこちらで面倒を見て、その代わりにお金はこちらに提供していただくようにする予定でいます。そして借金の返済を終えたなら働いた分の給料は実際に手渡すようにするという手筈にし、以降は自由に給料分のお金を使っていただいて構わないというやり方にする予定ですが・・・私もこのような手段を取ることは流石にどうかとは思いました。ですが他の二つの選択肢もそうですが、本来貴殿方の抱える借金は普通なら一朝一夕に返せる物ではありませんし、出来ることなら借金の返済以外にお金の使用は望まれません・・・ただやはり今までの経歴から貴殿方を手放しでその為にだけお金を使うと信じられるとは、私の立場からは言えないということです」
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だがその代わりにと条件があることを口にしていく中で孔明が目を閉じつつ口にした目の前の面々に信頼を感じられないといった辛辣に取れる言葉に、何でと言った様子だったほとんどの人々の顔が一斉に何とも言い難い物に変わる。丞相という立場の人間が自分達に対してそう言ってしまうと言うことに。
「そしてそういった事から基本的に何かない限りは基本的にその開墾の場で周囲の警戒にあたる神託の盾には、人の出入りについても制限して管理するようにさせていただきます。これに関しては貴殿方の安全の為という部分もありますが、外部との良くない形での接触を避けるためでもあります。理由はこれまでの話に繋がる形になりますが、どのようなやり取りに事情があれども金銭の取引を行うと言った可能性を無くすためです・・・その為にこの条件は変えようがありませんが、借金の返済を真剣に考えてかつダアトにいたいと言うなら、一つ目の選択肢を選ばずにこの選択肢を選ぶことをお勧めします」
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しかしだからこそ真剣に考えるならこそこれを選ぶべきだというように孔明が目を開いて口にした言葉に、人々はざわざわと周りと共にどうすると言うように声を漏らし出す。孔明の言うことは分かるが、だからと言って一つ目の選択をして借金をしないままにいられる自信があるか・・・この場に集められた面々が自身らと似たような者達ばかりだからこそ、同じような考えになって相談するように。









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