女忍、苦労する

・・・孔明により後の行動を任せられたくのいちは時間を使った後、イオン達の方へと向かった。






「・・・漆黒の翼に拐われろ、ですか・・・」
「そうそう、だから抵抗はしないでね~。下手に時間かけるとアッシュが自分が動くって言い出しかねないし、そうされるとこっちも面倒な事になるから」
「それはいいのですが・・・アニスはどうするんですか?僕が拐われると言うなら、彼女も共に来るかどうかが微妙な所になると思うのですが・・・」
「う~ん・・・その辺りは漆黒の翼がどうするかにもよると思うけど、神託の盾の事を考えると無理にアニスを連れていくと面倒になりかねないしな~。アッシュ辺りは邪魔だから殺せとか普通に言ってきそうだし」
「っ・・・それは・・・」
「そう考えると流石にまずいから、アニスは無理に付いていこうとしない方がいいんだけど・・・アニスはどうしたい?」
「・・・私もそうなる危険性が高いと思いますけど、イオン様から離れすぎるとどうなるか分からないんですが・・・イオン様の行方もそうですし、私がそれからどうするかっていうのも・・・」
「あ~、その問題もあったか・・・」
・・・バチカルの宿の一室の中、くのいちはイオンとアニスの二人と向き合い話をするのだがその中身に三人共に表情を重くしていた。意外と難しい問題なだけに。
「・・・うん、旦那様ならこう考えるか。ってことでアニスは私と一緒に行こっか」
「私と?・・・ということはルーク様達と一緒に向かうと?」
「理由なくそんなこと言ってる訳じゃないよ~。これからの謡将達の行動を考えると各地のセフィロト回りをするだろうっていうのは分かるけど、その中には謡将達の最大の目的地点で分岐点でもあるあの場所がある。ルーク達の向かうだろう場所がね」
「っ・・・つまり、そこでイオン様と合流を目指すって事ですか?」
「正直あんまり感心出来ない手段だと思うけど、アニス一人で神託の盾を追い掛けてあそこで合流をっていうのは正直キツいと思うんだよね~。向こうにはタルタロスがあるから徒歩で追い付くなんてまず無理だし、もし誰かが追い掛けて来てるなんて向こうが気付いたら始末にかかろうって考えられたらまず逃げられないだろうし」
「それはっ・・・」
「希望的な事で物事を言うのはあんまり良くないって分かってるから言うけど、ここで焦っても何もならないからね~。それにイオンを殺そうって手を出すことはまずないと思うから、安全の為にも私と行動する方がいいと思うけどどうする?二人とも」
「・・・僕も、そうした方がいいと思います。もし無茶をしてアニスが死ぬような事態は僕にとっても本意ではありませんし、僕が安全だというなら尚更無理をする必要はないと思いますから」
「・・・そういうことなら、一緒に行きます。私もまだ死にたくないというのもありますけど、イオン様に追い付けないなら無理をしない方がいいと思いますから」
「それじゃ決まり!」
そこからいい案を思い付いたと声を上げるくのいちの考えを聞く二人だが、アニスの安全面に極力配慮した物なだけに二人もそういうことならと頷く。下手に無理をしても良くないと理解した為に。










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