軍師と女忍、未来を繋ぐ

「・・・とうとう来ましたか~」
「えぇ。取り敢えず二人もそうですが、同様の状態といった方々に関しては既に別の場所に集めています。ですので我々はそちらに向かいますよ」
「了解で~す」
それでくのいちは孔明に呼び出されてその元に行き、早速行く事についてを切り出されたことにすぐに頷き二人で部屋を後にして行く。









・・・そうして二人が向かったのはタトリン夫妻を始めとして何人もの人々が集められた会議室である。
「さて、皆さんお集まりいただきありがとうございます」
それでくのいちと共に部屋の奥に行って壁を背にして人々の視線を集めつつ、まずはと孔明は二人で頭を下げる。
「まずはこうして皆様にお集まりいただいた理由についてをお話しますが、貴殿方が揃って多額の借金をされていることに加えて以前と状況が違うことにあります・・・そしてその違いが何かと言えば、前大詠師の思惑があるかにあります」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
そしてすぐに頭を上げて呼び出した理由についてを述べる孔明だが、モースの事を口に出したことに場の人々は少しざわめきを浮かべる。
「前大詠師の行動に関しては半年程前に話したような中身であり借金取りと裏で繋がり行動していましたが、それらは業者と共に罰することにより一先ずは終わりました。その上で急ぎの用からお金を貸せる人物がいなければ困る方々もいらっしゃるだろうことから、新たにお金を貸せる人の登場を許可しました。無論それらは大詠師のようなことにならないようにと様々な精査をした上でですが・・・その方々にはこうもお伝えしています。相手が返せると見越せた限度額以上の金額を貸さないようにと」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
「ざわつかれるお気持ちは分かりますが、これは当然の処置になります。元来借金というものはお金を返すという約束の上に成り立つ物であり、そういった約束を反故にして返さなくていいなどという理由は普通に考えるなら有り得るものではありません。そして今現在こちらに集まられている方々はその限度額に達成、もしくはその額に近い方々になりますが・・・その限度額だというのを伝えたにも関わらず、それ以上を借りたいと言われた方もいらっしゃると聞きました。ですが注意をしただけでは聞き届けてくださらない方もいらっしゃったので、こうして皆様を集めたという訳になります」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
続けて孔明がモースに金貸しに借金の限度額・・・それと暗にタトリン夫妻の事を例に出すと、集められた人々はザワザワと困惑の声を漏らす。
「本来でしたら借金はするべきではありませんが、個人の持つ権限ですのでそうするなと禁止することは出来ませんし口を挟むべきことではありません・・・ですがこのまま限度額を越えてまで貴殿方が借金をすることは我々の立場から見て望ましいことではありませんし、この話をして尚別の所から借金をするなどして借金を返せないという本末転倒な結果になることは望ましいことではありません。ですので私もそういった声からどうするべきかを考えましたので、今からいくつか発表させていただきますが・・・心してお聞きください。その案に対してどのように貴殿方が選択するかが、貴殿方の今後に大きく関わることになりますので」
‘‘‘‘・・・!’’’’
孔明はそんな人々に借金に関しての解決の案を提示することを口にするが、羽扇を口元に添え静かな口調でこそはあるが視線と声色が真剣なその様子にほとんどの人々は息を呑んだ。それだけ孔明が本気であるということを感じて。









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