軍師と女忍、未来を繋ぐ

「・・・何はともあれ、問題点はそれくらいです。後はアニスに報告をするくらいですね」
「ちなみに二人の事は話したんで?」
「えぇ、最近に会う機会はありましたので。ただやはり二人の事に関しては残念そうにこそはしてはいましたが、以前ルークがいた時のように涙を流すまではいきませんでした・・・とは言え私の前で気丈に振る舞っている可能性も否定は出来ませんが、敢えてそこを掘り下げるのも二人についてをどうにか考え直すと言うのもよくありませんから何も言いませんでした」
「・・・まぁそこは流石に変に突っつく訳にはいきませんからね・・・」
そんな二人についてからアニスに話題を変える孔明だが、その中身が中身なだけにくのいちも複雑な表情を浮かべて頭に手を当てる・・・やはりこの辺りは策とは言え心情的な物が大きくあり、親としての自覚からくのいちもアニスの気持ちを案じている為に。
「とは言えもうアニスにあの二人を会わせるつもりはありませんし、今の仕事も無事にこなしているようですからね。少なくともあの二人を始めとした方々に処分を下すまではあまり公に活動は出来ませんが、そこはさして心配はいらないでしょう」
「それはまぁ旦那様の教え方が良かったからってのもあるでしょうけど、どっちかと言ったら肉体派じゃないですからね~アニスは。ディストの造ったトクナガが無かったら譜術は使えても動きはそこまで俊敏じゃ無いですし、元々頭を使って物事に挑む娘ですからね~」
そんな話題からアニスが今の仕事については大丈夫との事に孔明は変え、くのいちもまたアニスの性に合っているだろうと明るく口にする。



・・・アニスが今どんな仕事をしているのかと言えば、主にダアトや神託の盾に関する書類整理であったりなどの事務作業である。

一応アニスはトクナガありだったのを含めても導師守護役を勤めることが出来るくらいには実力はあるが、年齢的だったり体格的に育ちきれてない事から生身で人や魔物と戦うには色々と不利な面が大きかった。

それにトクナガは元々は譜業仕掛けの人形でいてプラネットストーム停止後はまともに動かすことの出来ない単なる人形になる・・・そういった事を考えた上でタトリン夫妻に対しての対策も含めれば、導師守護役から別の所に行くのは当然の流れだった。

そしてそれで孔明が夫妻への対策も兼ねて新たな職場として適正があると見越して配置したのが、事務作業の場なのである。元々タトリン夫妻のせいという面も大きいが金勘定に関してはアニスは強く、孔明の教えもあって頭を働かせて動くのは苦痛ではないと見込まれてだ。そしてその采配は的中し、今は人目につきにくい場所の中でダアトや神託の盾を円滑に動かす為に影で日々活動しているのである。



「そうなりますが・・・取り敢えず貴女はしばらくはダアトの見回りを行うくらいに留めておいてください。ユリアシティから共に戻ってきたばかりのリグレット達同様に慰安の為にあまり忙しくなりすぎないようにするためというのもありますが、いざという時になったなら貴女にも場にいていただきたいですからね」
「は~い、分かりました~♪」
そして孔明が決着の為にゆっくりしつつ待つように言うと、くのいちも楽し気に了承を返した。くのいちに反対するような要素も特に無かったために。









・・・そうしてくのいち達がダアトに戻ってきてから少しして、孔明はくのいちを呼び出した。用件は・・・タトリン夫妻が借金を出来るようにならないかと伺いに来たということでだ。









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