軍師と女忍、未来を繋ぐ

「・・・ティアに関しては分かりましたが、ユリアシティの市長を始めとして住民の方々は今のユリアシティやオールドラントの現状に納得はしているのですね?」
「まぁそれは。今言いましたけど、預言の復活を望む人達がいなくなったことからそこの辺りはむしろもうユリアシティは心配しなくていいと思いますよ。今の状態で変な噂が立って人の流れが無くなるなんて向こうからしても避けなきゃならないっていうのは市長達もよく理解してるんで、もし過激派な預言保守派や元住民の人達が来ても常駐することになった神託の盾に頼む形でどうにかすると思いますよ~」
「それくらいには今の住民の方々の意識はしっかりしているというわけですか。貴女がそう言うなら安心出来ますね」
それで次の話題としてユリアシティの住民の考えについてを聞く孔明にくのいちが大丈夫だろうという考えを口にしていき、その答えに満足したように微笑で返す。
「納得していただいたなら何よりなんですけど、こっちの状況はどうなんですか?手紙だとか各地の情報が流れてくる感じだと、予定通りって感じには進んでいるとは見てるんですけど・・・」
「えぇ、貴女の言うように予定通りに進んではいますね。ただ予定通りに進む中で、個人的に我々が動かねばならない案件もそろそろ間近に来ています」
「個人的に・・・あぁ、タトリン夫妻の件ですか」
くのいちもまた笑顔で返しつつダアトはどうかと聞くと、返ってきた個人的との言葉に笑顔が引き締まる形で察した。タトリン夫妻の事だと。
「そういうことです。報告によればもう借金が出来る限界額に到達しているそうで、近い内にどうにか借金をまだ出来ないか・・・アニスや我々にも手伝ってもらえないかなどと言ってくるだろうと予想しています」
「・・・ちなみにアニスはもう二人の家族じゃないとは言っているんですよね?」
「えぇ、言っています。ですが鵜呑みや糠に釘という言葉がこれほどしっくり来るのかというくらい、あの二人はその言葉と中身を本気で言っているのだと捉えてはいません。そしてそのままに二人は我々に要求をしてくるでしょう。自分達が借金をすれば助かる人達がいるのだからいいではないかというよう、そして自分達の言うことについて我々が理解してくれるだろうと」
「・・・あ~・・・物の見事にって言ってもいいくらい都合のいい考え方してますね、ホント・・・」
肯定を返しつつ孔明がいかに二人がちゃんと考えてないかを示すような風に返していくと、力ない声をくのいちは漏らすしかなかった。自分達の考えや視点を全く持っていない様子に。
「ですから次に来た時は二人には最後通告を行います。最早二度と気楽に我々の前に来れないようにするような通告をです」
「確かにそれからの事を考えると必要な事じゃありますけど、あの二人と同じとまでは行かなくても近いくらいの事をしてる人達っているんですか?」
「正直な所としてそこまで近くはなくとも、いずれ規模的にはあの二人と並ぶ可能性がある人達も何人かはいます。ですのでその方々も併せて通告はする予定ですよ」
「・・・人がいいのはいいって言いたいのは山々ですけど、自覚なり物事の分別はつけてほしいなホント・・・」
だからこそ他の面々も交えてかたをつけると話す孔明に、しみじみとアニスはその面々も含めて考えてほしいというように力なく漏らすしかなかった。あまりにも人として愚かしい事を改められてない様子に。



・・・ここでくのいちが何の事を言っているのかと言うと、タトリン夫妻とまでは行かなくても考えなしに借金を重ねていた人々の事でありアニス以外の導師守護役の親の面々である。

これらの人物達は揃って敬虔なローレライ教団の信者であり、預言の達成が第一で物欲などほとんどなく・・・金銭に関しても頓着がなく、もしもの何かがあった際のアニスの予備用に配置する導師守護役を操るために借金をさせられていた面子である。

そんな面子は前のモースの件で借金はチャラになったが、今もまた考えもなしに借金を重ねていることから孔明が言うようにタトリン夫妻と同じく厄介者として見られている面々なのであり・・・タトリン夫妻と共にこの問題で片付けられようとしているのである・・・










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