軍師と女忍、未来を繋ぐ

・・・ただこれらに関して、一見聞けば残酷なように思うことだろう。かつては敬虔なローレライ教団の信者であるばかりか、当人達は未だにローレライ教団の一員として正しいことをしていると信じて疑っていないのだろう筈なのにだ。

だがこれらに関してを世界の破滅と天秤にかければ、どちらが重く傾くかは自明の理であるしそもそも音譜帯に行く前に話をした時もローレライは言ったのだ。預言に詠まれた滅びを脱却するなら、最早預言を詠める環境にあったとしてもズレの生じた未来では預言に詠まれていたような未来は訪れないどころか・・・人によっては本来に詠まれる預言にはこの時に死ぬようになっているとなり、以降にその人物やその子孫達に預言が詠まれることはなくなると。

これは預言がオールドラントの終末までを詠んだものであると同時にそれまでに生きる者達の命運までしか詠まれないという性質があるからなのだが、だからこそ預言通りにしたりそれに従うようにこれからもしていきたいということがいかに駄目なことなのか・・・そういったことを投げ掛けもしたのだ。

なのにそういった言葉を都合よく悪い部分を独自解釈した上で、再び預言が詠めるようにしようなどという気運が高められたら厄介としか言いようがない・・・だからこそそうなる前に苛烈でいて、厳正な処分を取って事を収めるのは大きな動きをされないようにするためには当然と言えた。



・・・そして出ていった外が駄目なら、元々いた場所にもまた影響が出てくるようになっていった。

ダアトでは度々教団に預言が詠めるような状態を様々な障害があるのをどうにか解決した上で復活出来ないかと、そういったことについてを切り出してくる者達が出ていた。しかし現在のダアトでそんなことがまかり通るなどあるわけがなく、結果は揃ってそんなことは出来ないとディストが説明をする形で一蹴するというのが流れになった。

この辺りは外に出ていった人々同様諦めと言うか、都合よくどうにかならないのかという考えしか持てない者達ばかりであるからだった。だが今やその手の知識の第一人者となったディストの懇切丁寧でいて復活は無理だと素人目線から見ても分かりやすい説明のおかげで少しずつ数は減っていったが、理屈など知ったことかといったように考えを放棄して諦めきれないからこそ外に行くとダアトを出ていったり・・・同士を集めて裏で密かに企みを企てるようにとなっていった。自分達が動いて再び預言が詠めるような環境にしようと。

だが所詮というか預言大事という気持ちだけが立派で特に能力が秀でている訳でもないそれらの人物の行動などすぐ神託の盾の知るところとなるばかりか、半年ぶりにユリアシティから戻ってきたくのいちの耳に入ることになるのである・・・










「・・・ほうほう、ダアトはそんな感じになっていると・・・」
「予想していたことではありますし、それらの方々の動きの拙さから貴女なら然程苦労することはないと思われますが、行動を起こされてしまえば面倒になることは避けられません。ですので戻ってきて早速になりますが、行動をお願いします」
「問題ありませんって♪むしろユリアシティでのお仕事が順調過ぎたくらいで、いろいろ楽させてもらいましたから頑張りやすよ♪」
・・・それで丞相の私室に来たくのいちに対して一連の流れを説明した上で対処を頼むことを告げる孔明に、至って明るく陽気に頷いてくのいちは返す。大した問題ではないというように。









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