軍師と女忍、未来を繋ぐ

「・・・案の定また来ましたか・・・予想が簡単につくことがこれほど虚しく、悲しいことは中々にありませんね・・・」
・・・それで二人が部屋から退出した後、孔明は疲れたように頭を抱え込む。言葉通りに簡単に二人が自身の元に来てしまったのを嘆くよう。
「・・・本当でしたらすぐにあの二人に関して解決したいところですが、仕込み自体は終わっていますしそれらが芽吹くまで時間をかけなければいけませんからね・・・予想が正しければまたしばらくして後に二人は来るでしょうが、その時を終わりにしましょう。私としてももうあまり二人に関わりたくはないですからね・・・」
その上で孔明は様々に二人に関して口にしつつ、次をラストにすることを疲れたままに口にする。もうこれから何回も会いたくないという気持ちを盛大に込めながら・・・









・・・そうして孔明が微妙な気持ちになりつつも時間は進み、ダアトの改革は進んでいった。その中で最も大きかったのはやはりダアトにはいられないという人々を外に出すことが出来た事である。

これに関しては預言を詠まないダアトにいるつもりがないという人達もそうだが、今のダアトにいるよりは外に行った方が預言を詠む世界の復活を求める団体を作ることが出来ると見越しての者もいたからである。

人の考えは十人十色であり、似たような考えを持ってはいても全てが全て同じという訳ではない。この場合はダアトにいて預言の復活の為の活動をしたいと思う者と、他の所に行き世論を味方にして預言の復活を目的とした者達が分裂して外に行くと決めたことによる物なのである。

現にダアト側はそういった人物達がよく預言復活を願うための運動を起こしているという報告を受けていた。だがその報告に対してダアト側が返す答えは処遇はそちらに任せるであり、報告してきた側が出す答えもまたそれに従うというものであり処分を下しても人々の反応は概ね冷ややかな物だったというのであった。



・・・考えてみれば、これは当然と言えることだ。ダアトは中身的には預言に詠まれていなかった上に戦禍に晒されることなど今までの歴史を紐解いてもなかったが、他の所は戦争とまでは行かずとも各地で小競り合いなどはよくあるばかりか、マルクトに至ってはかつては預言に滅びが詠まれた上でモースや預言が大事で行動をしてきた者達から散々煮え湯を飲まされてきた身なのである。

それなのに今までの滅びの預言は回避されたのだからまた新たに預言が詠める環境が復活したなら、今度こそは世界全体の繁栄が望まれるはずだ・・・なんて都合のよく甘い考えなど、そうそうダアト以外の他国で受け入れられるはずがないだろう。特にマルクトは預言保守派から裏切られる立場だったことから、そういった声に関しては苛烈に拒否反応を返していった。

その上でダアト側から告げられた処分はそちらに任せるという権限の委託によるもので、それらの人物達は何らかの処分が下される形で移住した所から消えることとなった・・・もうそこに戻ってくることもない形でだ。

・・・いくら信じたくないと目を反らして希望にすがりたいとは言え、最早預言は詠まれるべき物ではないし詠んで人々の為になるものではない。そういうことは前に散々言ったはずなのに、それでも周りを巻き込み都合のいい考えで事実をねじ曲げようとする・・・そういった自分の考えを変えることも出来ず、身勝手な理想を押し付け将来的な危険を避けるために残酷ではあるが妥当な処置であったと言えよう。下手なムーブメントを起こされる前に機先を制するという意味でだ。









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