軍師と女忍、未来を繋ぐ

「・・・止めたい気持ちになる方もおられるかもしれませんが、今までの話及び謡将よりの証言を聞いたことによりそうすることは確定させなければならないと我々はもとより考えていました。そうしなければ今言ったような形で後の禍根になりかねませんし、下手にこの場で裁かず後で人知れない場所で処刑などしたなら、大詠師はまだ生きているであったり我々が生かしていると言ったような何らかの目的からか妙な噂を立てられかねません・・・ですので今からこの場で大詠師の首を落とすことにしますが、流石にその場面を見たくない方もおられると思いますので処刑台を設置するまでの間に退避されてください。ではお願いします」
「ムガァァァッ!ムグァッ!」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
イオンはそれで決定を覆すつもりはないと注意をした上で準備をするよう兵士に命じると、モースは必死に声を上げて逃げようと身をよじるのだが、そのあまりの必死さに観衆達は何とも言えないような様子を浮かべながらザワザワと周りと話をしたりイオンの言葉通り場を離れようと動いていった。









・・・そうして処刑台の準備を終えた後、モースは残った観衆に見届けられる形で首をはねられることになった。最後の最後までムガムガと漏らし、どうにか逃げようと体を揺らし続けながらだ。そんな様子に観衆達は同情的な視線と言うより哀れみの視線を向けていっただけで、誰も大詠師を助けてはどうかというような嘆願や抗議の声を上げることはなかった。

それでそんな風にした後にヴァンにラルゴの処刑も執り行ったが、こちらは特に問題も抵抗もなくすんなりと事が済んだ。

それで他のヴァンに付き従った兵達に関しては流石にここで全てという訳にはいかないので、後で処罰を下すとイオンは言った後にローレライを見送ってから孔明達と共に教会の中に入る形で集会を終えた。









「・・・お疲れ様でした、導師」
「いえ・・・これくらいは導師としての役割を負っているからには当然です」
・・・場所は変わり、導師の私室に集まった孔明達。
そこで労いの言葉をかける孔明にイオンは笑顔で首を横に振る。
「そう言っていただけるのはありがたいですが、また貴方やシンク達に頼みたいことがあります」
「シンク達も、ですか?」
「はい。と言っても導師には手紙を書いていただき、シンク達は妻と共にユリアシティにまで行ってその手紙を届け質疑応答をしてきてほしいという物です」
「あぁ、あちらへ話をしに行ってもらうということなんですね」
「そういうことですが・・・少しリグレットには酷な事をしてもらうことになりかねませんが」
「・・・ティアのことも判断してきてほしい、ということですか・・・」
「そうです」
続けて孔明はユリアシティへくのいち達が向かうようにすると切り出すのだが、その話の中で自身に向けられた言葉に反応したリグレットが重い表情でティアと察したことに頷いて返す。
「一応彼女もユリアシティに戻ってからはある程度は自身の体については理解していると思いますが、彼女が何かをしでかしかねない可能性は未だに否定出来ません。ですので彼女が何か起こす危険性を感じたなら妻に話をお願いします。いいですね?」
「はい、分かりました・・・その時は奥方に話をします」
孔明はそんなリグレットにティアへの対応についてを話すと、吹っ切ったように表情を引き締め頷く・・・もしもの時にティアに何が起きるか、それを利発なリグレットなら分かっただろう様子で。









.
5/40ページ
スキ