軍師と女忍、未来を繋ぐ

「・・・皆さんがそのような形で戸惑う気持ちは分かります。そのよう未来にしたくはなくとも、預言を捨て去るような事はしたくはないということは。ですがここで我々が預言大事と選択を誤るような事をすればオールドラントの未来は閉ざされるばかりか、ローレライやユリアの目指した理想とは大きく異なる事を我々が選択する事になってしまいます・・・他ならぬローレライ教団の人間である、我々がです」
‘‘‘‘っ!’’’’
その反応を理解しつつもだからこそ選択をするべきとローレライにユリアの名を出すイオンに、観衆達は一斉にハッとしたような表情を浮かべた・・・ローレライ球団の人間という立場にあるからこそ、今目の前にいるローレライにユリアの本当の意志を無視することは出来ないだろうと言われたも同然だろうとの言葉に。
「勿論すぐに何の不平不満を抱くことなく預言が無くなることに納得することは出来ないかもしれません。ですが既にキムラスカもマルクトも預言による戦争の中身は知っている上に、両国ともに和平を結び預言通りにならないように歩み寄っている状態です・・・無いとは思いますが預言を遵守させるためにと誰かが何かの画策により行動を起こしたとしたなら、ダアトが疑われる可能性は大詠師のような預言が第七譜石のような中身ではないと信じる者達の仕業だというように見られ、戦を仕掛けられないというとは言いきれません。そしてそうなればダアトは負けないように動くにしても、国力の差を考えれば絶望的な戦いを強いられることは避けられなくなるでしょう」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
その上で次にイオンが口にした現実的なダアトの危険性についてを聞いた観衆は、一斉に息を飲むような音を出した・・・神託の盾は六神将を始めとして精兵はいるものの、キムラスカやマルクトの抱える兵力の差はあまりにも大きくとてもダアトが互角に戦えるような数はいないのはよく人々も分かっている為に。
「・・・皆様もお分かりいただけたと思います。様々な面から見て、最早ダアトは預言に頼るわけにはいかないということは。そしてだからこそローレライ教団はその在り方を変える必要があります・・・預言を遵守するための団体という在り方から」
‘‘‘‘っ・・・!’’’’
イオンはそういった理由二つからこそローレライ教団は変わるべきだといったように真摯に口にし、観衆達はザワザワと騒ぎ出す。言っていることは分かっても感情が追い付かないというような困惑を感じさせるように。
「・・・すぐに今言ったような全てを受け入れてくださいとは言いませんし、我々がこれから目指そうとするダアトに無理してまでいてほしいなどとも言いません。ですが我々はダアトの為にも、そしてオールドラントの為にもここで変わらなければなりません・・・だから我々はその為に動きます。世界の存続の為にも」
‘‘‘‘っ・・・!’’’’
だがそのざわめきも揺るぐことなく真っ直ぐ困難に立ち向かうと言ったようなイオンの言葉に、観衆のざわめきはまばらな反応ではなく感嘆の声と変わることになった・・・導師としての揺るぎない決意を見て、頼れる存在だと思えるといったようなものへと。









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