軍師と女忍、未来を繋ぐ

・・・ダアトもこの三年で色々とあった。いや、その濃密さで言えばキムラスカやマルクトを凌駕していたことだろう。ローレライを送り出し、ヴァンやモース達の形だけの裁判を施してからの処刑をしてからのこの三年は。

ただ全てを語るのにその処刑の場面についてを外すと後々様々に補足をしなければならなくなるため、まずはその時まで時間を遡る・・・



















「・・・と言うわけです・・・今までに話をしたよう、我々は預言の事実を知った上で行動をしてきました・・・その上で謡将に大詠師達の先程に言ったような行動についてを確認したからこそ、このようにして彼らを捕らえたのです」
‘‘‘‘っ・・・!’’’’
・・・ダアトの教会の入口前にて、隣にアニスとローレライを付けて机と拡声器の前に立ったイオンは階段の下にいる人々へと真剣な話をしていた。隣で孔明達が捕縛に拘束をされたモースやヴァン達を見張っている中、いかな問題行動を起こした上で捕まえているのかを。
「・・・さて謡将、何か言い分はありますか?」
「・・・いいえ、反論はありません。我々の起こしたことに関して間違いはありませんし、大詠師の行動も全てを私が知っている訳ではありませんが私が知っていることばかりでした」
「ありがとうございます」
「ムグッ、ムガッ・・・!」
観衆が真剣に話を聞いている中でイオンがヴァンに話を振ると、シンクが拡声器を向ける中で答えを返していくのだがその中で猿ぐつわを噛まされるモースの必死の声なき声もまたその拡声器に拾われる。
「・・・本当なら大詠師にも発言の機会を与えるのが筋だというのは私も分かっています。ですが今までの彼の話から少なからず感じた方もおられるかもしれませんが、彼は自身が間違っているという思いや考えを抱いておらず、また昨夜に話をした際には預言の中身はそんな物の筈がないと信じるような様子など一切見えませんでした。ですのであまりこのようなことは言いたくはありませんが、ここで彼に話をさせるようにしても今までの話は嘘であったり私を助けろといったようなことを言い出すのは予想が出来ます・・・ですのでこのまま話を続けます」
「ムグッ、ムギッ!」
‘‘‘‘・・・’’’’
イオンがそんな様子について発言をさせないと強く言いきることにモースは一層体を大きく揺らしてくぐもった声を必死にあげるのだが、観衆はなんとも言えないといった様子を揃って浮かべていた。その様は今言っている事は間違っていないのではないかと思わせる様子だった為に。
「・・・我々はこれらの事実を知った上で、ローレライからも先程のように預言の中身に本来の目的はこのような物であるという話を聞きました。これらの事実を受けて今までのように預言をずっと詠み続けていいものかに、その通りにしていいものかと考えましたが・・・貴殿方の中には預言は絶対に守られるべきものだという考えを持たれている方もいるかもしれませんが、そうしたなら世界が終わりかねない・・・そのようなことを聞いて皆さんは預言を尚も大多数の人々を犠牲にする形ででも達成させるべきだと思いますか?」
‘‘‘‘っ・・・’’’’
そんな空気の中でイオンが人々に手を広げ預言をそれでも守りたいと思えるかと優しい口調で問い掛けると、観衆は揃って表情を複雑そうに歪めた・・・やはり人の命が亡くなることもそうだが、自分達もその例に漏れないとなれば流石に気持ち的にそこまでしてでも預言を守りたいとは思えないのだろう。









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