時を経た変化

・・・女王として王族の直系の血を引いている事をナタリアは疑うどころか、そう言った所で嘘だと断じることだろう。だがいくら包み隠したり嘘だと信じたくない気持ちはあろうと、事実は事実だ。

まだナタリアが大人しくするなら入れ換えの件についてはアッシュやインゴベルト達も事実を無闇に明かすようなことはしないだろうが、それもナタリアがあまりにも厄介な行動を取ってしまえばまずその限りではない筈だ。そして事実を信じたくないだろうナタリアは嘘だ嘘だと喚くだろうし、そこまで言っても何も変わらないとなれば最早どうしようもない段階にまで来てしまうことになる・・・表向きには突然の死になるが、裏では謀殺しなければならなかったという形でだ。

しかし流石にアッシュ達もそんなことにはしたくはないであろうし、ナタリアも話を聞いて事実を知れば嘘だと言いつつも信じざるを得ないだろう。証拠は揃っている上にナタリアに対して表立って言われている事はなかったとは言え、赤い髪に緑の瞳の王族としてのどちらの特徴も持っていなかったのは本人が口にしたことはないと言っても何度かは考えたことはあるだろう。

その為にナタリアも経緯に証拠があると言われれば流石に自重せざるを得ないだろうが、それでも今までの事があるから自分は自重を求められたとは言え引かなくてもいけると思うことも有り得なくはないが・・・その時はいよいよ謀殺される可能性が現実味を帯びてくるだろうが、流石にそこまではくのいちや孔明達も及ぶ所ではない。



・・・まぁいかにナタリアでもそこまで来てしまえば嫌でも自重をする方向に行かざるを得ないだろうが、そうなってしまえば最早ナタリアには自分がどうしたいという気持ちを押し通すことは出来なくなり、アッシュやインゴベルト達の言うことを聞かざるを得なくなるだろう。

そしてそんな状況が続いて子どもが王座を継いだなら、そのままナタリアは求められた時に発言をするくらいで後は黙るという状態を求められ否定は返せないだろう。

だが後々の事を考えるというか、そこまで言わせてしまったナタリアを黙らせることはキムラスカにとって必須になる。折角代償を払ったのに勝手な事をされるのは避けたいだろう心境もあるだろうがだ。

となれば必然的にナタリアは大人しいキャラにならざるを得なくなり、控え目な先代の女王というようになることだろう・・・次代を娘か息子かに託して後を見守る好人物というようになるが、実の所は自分が動けない事を我慢するというか我慢せざるを得ない状態なのを人に見せる事も出来ないままに・・・









「・・・ま、キムラスカに関してはそこまで心配しなくていいでしょ。そこはもう内輪で解決するっていうか出来るくらいの状態な感じにまではなったと思いますし、あの二人も流石に今の状態なら理不尽な要求だったり宣戦布告だとかみたいなこともしないでしょうしね」
「確かにそこに関しては心配はしないでいいでしょうね。ただ裏を返せばそれが起きてしまえばいよいよ覚悟しなければならないという状況になるでしょうが・・・」
「まぁ戦になるような状況は起きる時は起きますし、その時はその時っすよ。まぁ何か理不尽な理由で戦を仕掛けられたらこっちに話をしてくださいな。理由次第じゃ旦那様に働きかけますんで」
「ありがとうございます」
そうしてくのいちはまとめるようにもういいだろうと言い、フリングスの懸念の声に力になると返すと少しホッとしたように頷き返した。孔明の助けがあることにくのいちの気遣いを受けて。









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