時を経た変化

「そしてそれで次代のキムラスカの世継ぎにその兄弟姉妹が生まれたならインゴベルト陛下達はナタリア様のようなことにしないようにって教育をちゃんと施すってなって、そしてちゃんと物事を考えられる上で勢いで発言しない聡くて慎重な子どもにしようってするでしょ」
「そしてそうなるようにするためにも、その子どもはアッシュやナタリア様の近くにいない時が多くなりそうですが・・・腹を痛めて産んだ事実があるから子どもに対して愛情は抱きつつも、自分が面倒を見なくていいということに違和感を感じるようにはならないでしょうね。自分が公務に取り掛かる時間が確保される事があるからだったり、また子どもを産むためにストレスを無いようにしたいといった考え方から」
「子どもを産むってことに関しては歓迎はするだろうけれど、公務はいずれ出来なくなってくるだろうとは予想がつくんすよね。そんでもってアッシュもどうにかしたいって思いはしても、牙が抜けたようなアッシュじゃ激しく異論を陛下達にぶつけられはしないでしょうし」
「そうしてナタリア様が公務が出来ないか簡単な公務しか担当出来ないような状態が続き、子どもを産むには体力や年齢が厳しくなってくる頃にはナタリア様に発言や権力は無くなっているのでしょうね・・・他ならぬ自分が産み出した子どもが政治の場に直接立つような状況になり、親としてその活動を後押しするという立場にならなければならないために・・・」
その上で生まれてくる子どもの教育方針についてからどのようにその子どもに押し込められていくのか・・・それらを話していく二人だが、フリングスは何とも言い難い気持ちをその話に感じざるを得なかった。









・・・子どもが成長するのは至極当然の事ではあるが、そうした子どもの成長がナタリアにとってプラスになるかと言えばそうはなり得ないだろう。何故ならナタリアを最終的には望まない所に押し込みかねないからだ。

と言ってもナタリアを殺すだとか国外追放だとかの物騒な響きを伴わせるような結果が待っているのではなく、単純に子どもの成長によりナタリアが公務を担当するような状況でなくなることにある。

それが何故かと言えば基本的に王に女王という立場にある者は、その地位を子どもなり王族の系列の者に譲った後は政治に関わることはないからだ。命があり健康体の状態で先代の王と女王となるということは即ち、後の政治を現在の王と女王に譲るということにある為に。

とは言っても現実的に先代となった王に何の権限も決定権もないなどということはそうないし、王位を譲った後も政治に口出しをしてくる者は歴史を紐解いても数多く存在している。まぁ王でなくなったなら何も誰も言うことを聞く必要も仕える必要もないなどという訳はない上、現王が暴走をするだったり前王の出番が必要なもしもの時の保険も含まれているのだ。



・・・ただインゴベルト達はその保険とも言える権利を保有しつつ以降も何かあれば使うつもりでいるだろうが、アッシュはまだいいかもしれないにしてもナタリアにその権利を持たせるつもりはないだろう。以降のキムラスカの未来の為にナタリアに過ぎた権力は持たせるべきではないと考えてだ。









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