時を経た変化

・・・もしそう言われれば今の状態のアッシュは苦心することだろうが、ナタリアの立場の為にも否定をすることは出来ないのは目に見えている・・・何せナタリアが本物のナタリアでないことをアッシュは知っているのだ。立場が立場なだけにナタリアの事を守ることが出来るのも、そうしてもらいたいとナタリアが思えるのはアッシュだけだ。

となれば子どもを作ることは必須になり、いかにちゃんとした気持ちを整えたくともそれが望めないのならいっそ様々な事を割り切った方がいい・・・と言うわけだ。

まぁそうなれば遠くない内に子どもは何やら体に不調やら理由が無ければ、行為を重ねればまず出来ることは出来るであろう・・・ただ・・・









「・・・ただ子どもが出来た場合、あの二人がどうなるか・・・」
「そこに関してはそれこそあっしらが関わることじゃないっすよ。もうそこからはキムラスカの領分になりますし、そもそも旦那様の策も要約すると結婚の前からさっさと子どもを作るようにって感じにするって物でしたもん。それに王族や貴族の子どもって言っちゃ何ですけど近親者だけで子育てをせずに従者がどっちかと言ったら頑張るものですし、二人にでしゃばる隙と言うかこういう風に教育したいなんて考えを実行させなんか陛下達もしないでしょ」
「・・・確かにあの二人の教育が信頼出来るものかと言われれば、前歴もあってあまり期待は出来ないでしょうね・・・」
・・・それでフリングスは子どもが出来た後についてを漏らすのだが、くのいちが返した答えに納得しつつ息を吐きたそうに目を閉じる。二人が子育てに役立つと言うか、期待出来ないということに自分が否定したいといった気持ちを滲ませ。









・・・そう、子どもが出来た後の事が問題なのである。

一応男か女かの問題はあれども、二人の子どもが一人でも生まれれば最低限アッシュの後の王位につかせることが出来る・・・その事から二人の事がどうにもならなかったなら結婚前の婚前交渉をさせることも視野に入れるべきだと、孔明はインゴベルトへと策を授けていた。もしもの際の手段にと。

しかしそれは三年前にアッシュの様子が変わったことにより実行に移す必要はないか様子を見るとインゴベルト達も考えたのだろうが、ならばと言ってナタリアが大丈夫と太鼓判を出せるかどうかもそうだがその教育がいいものと言えるかというとそれはまた別物だ。

と言っても子どもを育てるとなれば、これは一般家庭のようにはいかない貴族や王族としての子どもの育て方があるから、むしろ子どもに関してはナタリアをどうにかするよりは断然に楽な方だろう。



・・・一般的な家庭であれば子どもがある程度育つまで誰かが付きっきりにならなければならず、授乳の関係と仕事をしなければならない関係上で母親がその役目を少なくとも日中は負うのが普通になるだろう。精々手伝いが期待出来るとすれば親類や、近所の人達くらいである。

しかし王族や貴族は普通の生活において常に従者を側に置く生活をしており、むしろ言うことを聞く人物が常に周りにいて快適に生活出来るようにサポートしてくれる。それが子育てでもあろうとだ。

現にアッシュやナタリアもそうして暮らしてきてその恩恵を受けてきた為に普通にそのことは受け入れるだろうが、その従者が二人のことよりインゴベルト達の命令を重視・・・と言うか最初からインゴベルト達の言うことに従って子どもの教育に乗り出すだろう。二人、というよりはナタリアの影響をあまり受けないような子どもにしないようにという命令に従ってだ。









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