時を経た変化

そういった状態になってしまったなら下手な考えは休むに似たりと言うが、休むというよりは囚われるという状態になってしまうだろう。自分がどうすればいいのかと。

だが時間が経つにつれてアッシュはナタリアと結婚しなければならない時が近付いてきて、どう遅く見ても三年の内にはそうなってしまうだろう。そう考えた時にアッシュがナタリアと夫婦として子どもを作れるかどうかだが、これは周りの目もありどう遅くとも結婚して二年以内には出産までは行かなくとも、最低でも妊娠したという結果に辿り着くことは望ましい。

しかしその時にちゃんと夫婦として気持ちを整理した上で両者共に精神的に納得した状態でそういった行為に励めるかと言えば、今の状態では決して頷ける事ではないだろう。

だが二人が納得しようとしまいとも、周りの目が考えがまとまってないからそんなことをしないなんて選択を許すはずもないだろう。となれば言い方は悪くともそれこそくのいちの言ったよう、いっそ気持ちを入れないままにナタリアの外見や体だけを重視してそういった行為を行った方がうまくいくことだろう。



・・・端から聞いたなら、この言葉はいかにも最悪でいてモラルの欠片もない事を推奨していると言ったように聞こえることだろう。しかしアッシュやナタリアみたいにどちらも見た目がいいこともそうだが、互いに想いあう二人が結婚出来ることが二つ共に揃うなど貴族や地位の高い者達の結婚では実は珍しい事なのだ。

大抵そういった立場のある人間達の結婚というのは親同士の決めた婚約であったり、子どもに兄弟姉妹が多くて特に後継ぎだったり他に婚約などの約束が為されてない役割のない子どもを立場のある者の子どもにちょうどいいからとあてがい、親類となって繋がりを作る為の政治的手段・・・といったような形で結婚することがほとんどである。恋愛結婚などまず相当な事がなければ成立することはない、夢物語に近い物である。

しかしそんな風にして婚約から結婚という流れになっても、どちらかかどちらもかはともかくとしても相手の事を好みではないだとか嫌いだみたいなパターンはよくあるのだ。親や周りが勝手に決めた結婚であるということから反発することもそうだが、欲目だったり誇張はあれども基本的に婚約をさせる側からすれば自分や相手側の子どもの見た目に性格など関係無い・・・そういった風にして地位ある者達は過去に似たような経験をする形で動いてきた上で、それに耐えきれなくなった者達は大抵は没落していってしまうことは。

ある意味ではそういった事による淘汰は合理的と言えば合理的ではあるが、そういった相手の容姿や性格などに不満がない結婚がいかに稀かと考えればむしろ今の状況は恵まれているとすら言えよう。望む相手と望むように愛し合うことが出来る状況は。



・・・ただそうして望む相手と結婚したとしても必ずしもずっと幸せだったりトラブルが絶対に起こらないわけではないが、そこは問題ではない。あくまで今のアッシュとナタリアの二人についてだが、二人が別れるような事だったり国を割るような仲違いをするような事態になることを周りもまず望みはしないだろう。

ただそれでも絶対に起こり得ないと保証がないならば、せめて子どもくらいは作ってもらいたいというのが周りの気持ちだったり考えになるだろう。そしてそういった時に女性から行くよりは男性から行くべきだという考えから、アッシュにそう言ったことをするようにと公爵辺りから進言をされることだろう。キムラスカの為にも必要な事だからと。

ただその時にナタリアとの関係についてアッシュは悩むだろうが、だからこそ公爵から言われることになりその言葉に従わざるを得ないだろう・・・悩む気持ちは分かるが、もうそこは割り切るようにすべきと。









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