時を経た変化

「ただアッシュはどういった気持ちになるのか・・・」
「まぁ言い方は悪いですけど、ナタリア様の見た目や体型的には特殊な性癖でもない限りは問題はないと思いますよ。それに元々二人は想いあっていたんですし、立場的にもナタリアは嫌だって否定は余程じゃないと返さないでしょ。まぁその余程って言うのはナタリア様が散々駄々をこねたり問題行動を起こして、陛下もそうっすけど何よりアッシュの不興を買うってとこでしょうね」
「・・・少し直接的過ぎる表現がありましたが、実際の所でそうなり得る可能性は無いとは今の状況では言い切れないということですか」
「今のアッシュだと絶対に大丈夫だって言えるような要素の方が無いと思いますからね~」
フリングスはそこでアッシュがどうなるかというように言うと、ニッコリとした笑顔と共に中々普通なら言いづらいだろう言葉も交えてナタリアには良くない可能性を口にする。









・・・そう、アッシュとの仲に関してである。

昔旅をしている頃までならまだナタリアとアッシュの関係性はルークとのこともあるが、周りに当事者達の間で多少は問題があってもそれでも互いへの想いは変わらなかったことだろう。しかしアッシュがあの激しかった頃が見る影もなく変わったことに、今の関係性を聞く限りではそれが変わっているだろうことはくのいち達にも明白だった。

その上で今のアッシュの事をナタリアがいいと思っているような風な兆候は感じられてはおらず、逆にインゴベルト達からすればむしろ今の状態は歓迎すべき物であるだろう。確かに激しさというか自己主張の為の力は著しく失われてはいるようだが、むしろあの激しさは削られて然るべき物と言えたからだ。アッシュがもしあのままであったならキムラスカの未来が大丈夫だと判断出来たとはインゴベルト達からは到底思えなかったであろう。

その点でナタリアからしてもあの激しさは望ましい物ではなかったであろうが、それでもアッシュの中にナタリアへの思いがあったのは事実ではあるだろう。だがこの三年間で自身の中で芽生え育ってきた感情が失われたことに戸惑いを覚えるアッシュが、今もナタリアへの気持ちがあるかと言えば当人も自信を持ってあるとは言えないだろうし・・・ナタリアもそういった部分をどこかで感じているからこそ、不安から行動を起こしているのだろう。



・・・しかし今の自分に自信を持てないからといったアッシュに対して色々言われつつも、それらを忘れてというか敢えて度外視している節のあるナタリアをインゴベルト達もそうだがアッシュが快く思うかと言えば・・・まずそうはならないだろうと外から見たくのいち達は考えていた。何故なら言い方は悪くとも、そういった頑張りは頑張りと見られることの方が少ないからである。

と言うかナタリアの頑張りは基本的に自分がやりたいことをやることに重点を置いていて、それが周りとのニーズに合っていなければ歓迎されない類いの物である。むしろそういった性質を理解していたからこそ三年前のアクゼリュス前まではナタリアは民にとって評判のいい王女でいられた部分が大きかった・・・ナタリアが興味ややる気を出すであろう分野に関して公務を回すことが出来た為にだ。

しかしそれはあくまでもナタリアがコントロール下にいたからこその物であり、コントロールから離れたナタリアがどうなったのかはくのいち達はよく知っているし、これからどうなるのかの予想もまたついたのである・・・決してアッシュやインゴベルト達との関係は簡単に行くものではなく、逆に難しい物になるだろうと。









.
18/27ページ
スキ