時を経た変化

「まぁそれでも元々のアッシュの事を思い返すと、断然にマシっちゃマシなんすよね~。元はと言えば旦那様はアッシュの攻撃的な態度や姿勢をどうにかって策を陛下に授けてはみたものの、三年後の今になって蓋を開けてみたらこんなだったんですし」
「その分丞相の策の訂正は余儀なくされるかとは思いますが・・・」
「その辺りはあくまで旦那様は雰囲気的には乞われたから教えたってだけで、こうしろとまでは強制してませんもん。だから現状でナタリア様が厄介な分を見越して行動を起こした方が陛下達としても楽でしょ・・・さっさと子どもを作るようにってせっついて、一人目が産まれたなら二人目に挑戦するんだくらいにどんどん進める形でね」
「そうですね。言い方は悪くともナタリア様には子どもを産んでもらう為の人材として見た方が、色々と捗るでしょう」
そんな中でアッシュはともかくナタリアをどうにかすること・・・その中でも一番効率的なことは子どもをその身に宿させることだと言うくのいちに、フリングスもまた同意といったように頷く。









・・・三年前に孔明がナタリアに話をしたが、子作りという物は王族という血を残すには是が非でも欠かせない大事な物である。そしてその話の時はナタリアも事が事と話の中身が壮大であったために頷くしかなかったのだが、実際の所は子どもをその身に宿し産み育てるということは決して楽なことではない。

子どもを身に宿すということは何もない時と比べて身体や精神のバランスが大きく崩れることになり、健常な状態に比べて余裕が無くなる事が多い。その点でナタリアは立場的に将来的に女王となる王女という地位にいるために常人より断然に助けを得られる位置にいるが、それはあくまで妊娠においての手助けくらいだ。そこで政治にまで助けの手を出すかと言うかと言えば、そんなことはないのはまず間違いない。

むしろその点に関してはナタリア自身がやらなければ仕方ないことではあるが、あくまで女性であるナタリアに求められるのは次世代の王族を産むことがメインだ。王族として割り振られる公務も確かに重要と言えば重要ではあるが、流石に身重であり次世代の王族を身に宿す人物に無理をさせることなど周りの面々がさせはしないのが普通になるのは間違いない。

と言うよりは王女という身分で公務を割り当てられる事があってそれをこなすことを当然とナタリアはしてきてはいたが、女王という地位に来てしまえばむしろもうそういった役割を求められることから公務の量は減らされる事になるのが通例である。例外として言うなら女王として実権を持っている上で、自分がやらなければならないと思って政治に参加し続けているからといったような理由からになるが・・・ナタリアがそんな風な立場に立てるかと言えば、まず有り得ないとしか言いようがないだろう。



・・・あくまでナタリアの立場は表向きは何事もないといったようになってはいるが、それでも散々やってきたことからインゴベルト達の不興を買って不審を抱かれていることには未だに違いはない。そんな状態で権力を持つことなど到底インゴベルト達に認められることではないだろう。

それに今までの会話で出てきたよう、アッシュとの意思疏通がほとんど出来ていない現状がある。もし今のままが続いたとしたなら公務に参加することはおろか、アッシュとの子どもを作ることすら容易ではない事態になることも考えられる。

そしてそれならといっそ子どもは後回しと開き直って行動を出来るかと言えば、これもインゴベルト達が認めはしないだろう上に孔明の言葉もある。それでも尚無視することなど、愚かとしか言いようがないレベルにある。

・・・そう考えるとナタリアが子どもはまだ作りたくないと駄々をこねられるのは精々結婚する前が限度であり、それならと自分の権力を行使しようとしてもインゴベルト達の権力に押し潰されるのがまず間違いないだろう。

そして何よりの問題はやはり・・・









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