軍師、暗躍と飛躍

「・・・では改めて話を戻しますが、モースの性格を考えれば今頃急ぎでインゴベルト陛下に内密に会うように機会を設け早くと行動に移すよう上奏していることでしょう。早ければ明日にでも事態は動くでしょうから、貴女は折を見てルーク達と合流出来るように動いてください。無論貴女をモースが同行させるとは思えませんから、非公式にという形でです」
「わっかりました~。ちなみに旦那様はダアトに戻ったらどうするんで?」
「ユリアシティを含めダアトの改革を終えたなら、ケセドニアに向かいます。その時にはマルクトの領事館に待機出来るように交渉しますので、そちらに来てください。事態が進んだなら一々ダアトから出てくるのは余計な手間になりますし、貴女達と合流して行動をして色々と決着をつけねばなりませんからね」
「了解っす。んじゃそろそろかと思ったら領事館に向かいやす」
そんな空気を引き締め話を真面目な方向へと戻す孔明にくのいちは必要な事を聞いていき、納得とわざとらしく敬礼をする。
「では私は兵と共にそろそろ港に向かいますので、貴女はモースの様子を伺った後は導師達に接触してください。無闇に抵抗するのではなく、大人しく漆黒の翼に拐われるようにと伝えるようお願いします」
「分かりました~、ではあっしもこれで失礼!」
そして最後とイオン達に拐われるようにと普通なら有り得ない事を伝えさせるよう言う孔明に、くのいちもあっさりと頷いてから一瞬で場から姿を消す。



・・・そう、実は事実を知ってて孔明の側についているのはアニスだけでなくイオンも同様なのである。とはいってもそうなった事情に関しては長くなるのでここでは割愛させてもらう・・・色々と複雑な為に。

ただその事情がある為に導師という立場にいるにも関わらず情に流されやすい傾向があるが、そこは孔明の教えもあるがアニスがいるために情による判断を行わずに踏みとどまる事も出来る。ただ導師としては判断力不足な部分は正直な所では否めない為、今の所は余程でなければ孔明に陰で従う形を取っているのだ。












「・・・さて、ケセドニアに戻って更にダアトに着くまでには時間がありますね。それまではゆっくりさせていただきましょうか、これからは色々と忙しくなりますからこの間くらいは気を休めないと以前の私の最後みたいに体調を崩しかねませんから・・・」
・・・それで港から船に乗った孔明は兵士達に別室で休憩するよう言い渡した後、自分が使う部屋の中にあった椅子に座り・・・前世の事を思い出していた。それもけして明るい思い出とは言えない自身の最期の事を。



・・・孔明には前世がある、これは他人が聞けば一笑にふすか普段の孔明を知る者からすれば頭が可笑しくなったと思うような話だ。だが当の本人である孔明からしてみれば嘘などではなく、真実なのだ。その上で今の孔明の妻という立場にいるくのいちも前世があるのだが、海を隔てた別の国出身で孔明が死んで千年以降後の時代の人間だと聞かされた時には、流石の孔明も驚いた物だった。

そしてその前世の事を思い出した上でくのいちから聞かされた孔明がいなくなったその後の話に、孔明は酷く気分を落ち込ませた。自分がもっとしっかりしていれば、うまく出来たのではないか・・・主の言う通り、自分が国を納めていればまた違う結末になっていたかもしれないと。

ただそういった後悔を抱いたが、だからこそ今生において後悔をしないように動くと孔明は決めたのだ。このオールドラントというかつてと違う世界に生まれた上で、この世界が以前の世界と比べて明らかに異質で許せるシステムにより動いていると知ったからこそ・・・















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