時を経た変化

始めはインゴベルトと公爵に脇を固められ、三年前の事を交えて今のようになって良かったと場にいたフリングスやトリトハイム(に扮したくのいち)達を引き合いに出しつつルークが成人を迎えることが出来てよかった・・・といったように堅苦しい口調ながらも話をした上で、後は無礼講でパーティーを楽しんでくれというようにインゴベルトが締め括って乾杯となった。

そんな光景を端から見ていたフリングスはアッシュが表情を固く引き締め表面上にも嫌そうにはせずに大人しくしていることに違和感を覚えていたが、そうこうしている内にパーティーは進んでいく・・・









・・・そうして数時間後、パーティーはお開きとなりフリングスは用意された部屋に戻ったのだが・・・
「いや~、実際に話をしてみて本当に変わったって感じましたよ。あれなら確かにあっしらの前に出してもいいとは考えるでしょうね~」
「確かにあの姿には驚きましたね・・・」
・・・その部屋には当然のようにくのいち達が来ていて、フリングスは共にアッシュの態度についてを少なからず驚いたというように話をしていた。パーティーの最中に挨拶回りに来たアッシュが、自分達を前にしても嫌な顔を見せず文句の一つも言わずに対応力してきたのだ。このことにはフリングスもくのいちも素直に感嘆した物だったが・・・
「ただちゃんとしているようではありましたが、気が抜けていると言うか覇気がないように見えましたね。あの激しさを考えればパーティーで見たあのくらいの方が良かったとは思いはしますが・・・」
「まぁそこについては同意ですけど、あそこまでとは思わなかったですよね~」
「それに場にいたナタリア様も前のような感じが見えませんでしたからね。自身の立場について色々と考えていたというのもあったのでしょうが、どちらかと言えばアッシュのあの様子の影響を強く受けていた可能性が高いでしょう」
三人はそこから思い思いの立場の中から自身が感じた印象についてを言葉にしあう・・・パーティーの中で会って話をしたアッシュとオマケのナタリアだが、大人しくなりすぎていて最早別人にすらなったような感じを受けていたことに関してを。
「まぁその辺りの事に関しては明日陛下達に話を聞いてみまさぁ。パーティーの最中に陛下にディストの事を内密に話して内密に謁見出来るようにしたんで」
「そしてその結果についてはその後、こちらに来て話をしていただくと」
「そういうことになりますが、おそらく丞相の予想通りの状態だと話を聞くまでもなくなっているだろうことは予測がつきますね」
「貴方もそう考えるのですか・・・」
だからこそ明日に謁見出来るようにしたと言うくのいちだが、続いたディストの確信があるといったような言葉にフリングスは何とも言い難げな様子になる。
「まぁ気持ちは分かりますけど、一応の確認だと思って待っておいてください。それに少将もそんなに急いで帰らなきゃならないような用件もないでしょうし、詳細にピオニー陛下に報告出来るに越した事もないでしょう?」
「そうですね・・・明後日にはここを出ますが、それまではもう特に何もありませんからお二人の報告をお待ちしています」
そんな様子に待つことも意味があると笑顔で口にするくのいちに、フリングスも笑顔を浮かべ返して答える。気遣いを向けられたと分かると共に、確かに無意味ではないと。









・・・そうして翌日、部屋にてゆっくり待っていたフリングスだがくのいち達が来訪してきたことを受けて快く部屋に招き入れた。









.
12/27ページ
スキ