時を経た変化

「・・・流石にその事はあの方もそうですが、インゴベルト陛下達には・・・」
「流石にあっしのことは言えるわけは無いですけど、ディストの事はアッシュに内緒って形で陛下達には話をする予定でさぁ。向こうも向こうでアッシュの体調にだったり色々と聞きたいことがあるだろうから、その辺りはやってくれると思うんで」
「・・・この三年で特に悪い兆候と言うか、そういった連絡は来なかったのですか?」
「来なかったですね~。だからこの三年について聞くためにもちょっと細工はさせてもらいました」
「・・・相変わらずすごいですね、貴女は・・・」
そんな二人が来た事情を受け入れた上でキムラスカ側とどうするつもりでいるのかとフリングスは聞くのだが、万事抜かりはないといった様子で笑顔を浮かべるくのいちに流石と苦笑を浮かべる。
「お誉めいただき光栄と言いたいんすけど、こうして姿を少将に見せたのは再会したいからってだけじゃないんすよ」
「・・・と言うと?」
「大方少将がこうしてバチカルに送られたのってこっちと似たような物で、アッシュの事についてを見聞きしてくるようにって大佐よりは穏便に済ませられるだろうことに加えて、向こうも変に大佐よりは怒らないだろうと見立てただろうからって思うんすよ。なもんで成人の儀が済んだらまたちょっとこうして話が出来ませんかって言いに来たんす。アッシュのことが心配要らないかどうかっていうのをお互いの視点から見て、どうなのかを擦り合わせるってことで」
「成程、そういうことですか・・・分かりました、こちらとしても望むところです」
「ありがとうございやす」
だがくのいちは用向きはそれたけじゃないと言い本当は何が目的かと聞くのだが、アッシュについての意見の交換という物に反対する理由はないと快くフリングスは頷きあう。
「・・・しかし、もうあの方はアッシュという名ではないのにアッシュと言ったように読んでいていいのですか?一応公式の場ではないことに私も一々告げ口のようなことをするつもりはありませんが・・・」
「アッシュやキムラスカ関係者がいない場じゃなきゃこんな風に言いませんって。それに今じゃもうルークって名前は私達の中じゃダアトの方のルークですしね~」
「あぁ、そういうことなんですか」
ただそんな中でアッシュという呼び名でナチュラルに通すくのいちにどうしたのかと聞くと、ルークの事があるからとの答えにフリングスも自然と納得した・・・アッシュや普通に暮らす人々の間ではもう存在しない者となっているが、今も密かに生きている上で馴染みがあるくのいち達からすればルークという名が身近にあるからこそアッシュを『ルーク』呼びするのは、前の旅のこともあってあまりピンと来るような物ではないのだと。
「まぁそういう訳なんでちょいと話し合いをしましょう。数日は成人の儀関連でバチカルに滞在するんで、どういった風に意見交換しあうだとかって件に関して」
「そうですね、そうしましょう」
そしてそんなルーク達に関してのことはともかくと話を進めてきたくのいちに、フリングスもまた快く頷く。協力関係を結ぶのに目的が合致していることに頼れる相手であることから、疑念や余計な口を差し挟むことのないように。









・・・そうして協力関係をくのいち達と結んだフリングスは、ゆったりと過ごしつつ二日後に開かれた華美でいて荘厳に開かれたアッシュの成人の儀にマルクトの代表として参列した。









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