時を経た変化

・・・基本的に真面目で誠実であるフリングスは、人を見下すような言動や考えを抱くようなことは少ない。だが三年前の旅でアッシュに対して抱いた印象というものは、今となっても拭えるような物ではなかった。

全てが全て善意とは言わないにしても、孔明を始めとした人々のかけてきた言葉だったり態度に中身もなく噛み付いていたこと。決して他の誰にも心を許すものかと言わんばかりに旅の中、ほとんど自分から誰にも話しかけることなく不満そうに過ごしていた姿。そして何かを考えているかと思えば、大したことを考えていたことなど一度もなくて結局は孔明達相手に終始ペースを取られて竜頭蛇尾の尻すぼみになってしまっていたこと。

・・・あれらの姿や発言を思い返してみればそれらと全く真逆な人物になっているとまでは言わずとも、少しは本音を取り繕ったり性格が変わっているといったようなことは期待出来ないのではないかという考えがフリングスにはあった。人の性格に考え方は十代半ばでおおよそは固まると聞いた上に、あのアッシュの頑迷さを思えばそんな簡単に変わるとは思えなかったことからだ。









「・・・それかもしくは成人の儀は何らかの別の目的があって、その為の前フリのような形で開かれるのか?だとしたら可能性として有り得るのはマルクト同様、ナタリア様との間に子どもが出来たから結婚するということを発表という流れになることも決しておかしくはないが・・・」
フリングスはそこで考えを別の方向に変え、別の何かがあるのではないかと可能性についてを思案に集中していく。









・・・マルクトではジェイドに対してピオニーが言ったよう、ピオニーが結婚することが世界に向けて発表された。相手は一回り程年下の美女で、貴族からの紹介などではなくピオニー自身が見初めた相手であり、そのことから様々な憶測というかどんなシンデレラストーリーが二人の間であったのかと人々の間で時折話題になっている。今まで嫁を娶ることなくいたピオニーが何故その相手を選んだのかもそうだが、その相手以外と子を成すつもりはないことから後宮など妻以外との間で関係を持つようなやり方を取るつもりはないと。

そんな事から元々から賢帝というように呼ばれ評価の高かったピオニーの人気は誠実な人物として見られて更に高くなるのだが、そんな相手との間での子どもが半年前に生まれたことは喜ばしいニュースだとマルクト全土に伝わった。次代のマルクトを担う子どもが産まれたことを祝福するようにだ。

そしてそんなニュースは現在は平穏な関係を結んでいるキムラスカ側にも伝わるというか伝えられ、祝福の言葉と記念品が送られてきたのはフリングスも知ってはいる・・・そしてそういったやり方そのものとは言わずとも、ある程度の参考にすることも有り得るとフリングスは考えた。それがナタリアとの結婚や子どもが関わっているのではないかと。だが・・・









「・・・だがナタリア様とアッシュが結婚はまだしも、子どもを作るようなことを易々とするとは思えない・・・あの二人はそういったことと言うか、二人の間での事に関してはやたらと潔癖というか年相応の欲求を持つことを避けていたように見えたからな・・・」
しかしフリングスはすぐに頭を横に振り、自分の考えは違うのではという気持ちになる。二人の間での関係に限定して見るなら、年相応の性的な行動を二人は二人ともにそうならないようにしているようにフリングスには見えていた為に。









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