時を経た変化

(寂しかったことに懐かしかったこともあるが、周りの好き勝手言う貴族という古狸共に俺自身が対処出来るだけの知恵に立場を得られたことにより、俺も自分のやりたいようにやっていった。あのケテルブルクでの時のように・・・しかしあの時の関係は子ども同士だったから成り立っていたもので、そんな子どものままの気持ちで大人という立場に立ってはいけなかった・・・自分としてはちゃんとふざけつつも真剣にやっているつもりだったが、時間が経つにつれて誰も大きな問題がなければ注意をしてくるようなこともなかったこともあいまり様々なボーダーラインを見誤っていったんだな・・・ジェイドの事も含めて・・・)
・・・手前味噌な言い方になるがある程度は自身の能力について、ピオニーは自覚はしている。頭の固い貴族達や二十年以上も経っていてぼんやりとしか顔を思い出せない生前の父を思い浮かべて比べてみれば、十分に自分の方が結果を出していることから上だと言えると。しかしそうして結果を残せるならそれでいいと様々な事を見過ごし、また見ないようにしてきた・・・そしてその中の一つにジェイドの事があると、孔明達との交流の中でピオニーは考えるようになった。いかに自分が甘かったのかも含めてだ。
(・・・あの最後にジェイドに会った時はあぁ言うのが精一杯だった。俺のケジメもあるが、あまり言葉をかけすぎてもジェイドの為にはならないと思って・・・今となってはジェイドがどうなっているのかは又聞き話程度に耳にするくらいしかないが、少しは前向きというか腐らないような考え方に変わっていれば俺も嬉しいんだがな・・・)
だからこそ自分から突き放したジェイドに変わっていてほしいと切にピオニーは願うしかなかった。一方的に色々と言うだけ言って放置する形ではあるが、自分の言葉をジェイドが汲み取って今は動いていてほしいと。



















・・・そういった形でジェイドに思いを馳せていたピオニーだが、時間は進んで翌日になり成人の儀には考えていたようにフリングスを送ると発表した。それでフリングスもすんなりとそうすることを受け入れたことにより、特に何かを言われることなく話は済んで数日後にフリングスはグランコクマを出て一路バチカルへと向かった。



「・・・現在のアッシュ、いえ『ルーク=フォン=ファブレ』はどうなっているんでしょうかね・・・陛下はわざわざ招待をするくらいだからキムラスカは人の前に出ても大丈夫だとの確信か、もしくはそれに近い何かがあることからではないかと言っておられたが・・・」
・・・そうしてバチカルに向かう船の中、一人船室にいるフリングスはピオニーから言われたことに関してを思い返す。今の『ルーク=フォン=ファブレ』がアッシュであり、どのような活動をしてきたのかについてを知っているのはマルクトではピオニーとジェイド以外ではフリングスしかおらず・・・キムラスカがどのような意図があってそんな下手をすれば不利になりかねないことを言ってきたのか、それをフリングスなりに探るようにとピオニーから内密に呼び出されて命じられた為に。
「しかし本当に大丈夫なのか、キムラスカは?まさかのことも決して有り得ない筈ではないと思うが・・・」
だがフリングスはやはりといった様子で不安を捨てきれなかった。三年前の旅での印象は今でもまだフリングスの中では、強く印象に残って仕方がないために。









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