時を経た変化

「・・・何度も今更今更と言うのもどうかとは思うが、お前が今更こんな話をと言った気持ちになっているのは分かる。しかし色々と考え直した上で行動するには今更ということを考えから捨てた上で、どうしたいかにどうすべきかを自分で考えろ。そしてその中でさっき言ったように研究職が嫌だというなら辞める選択もあるということだ」
「それは・・・」
「・・・ここから先は自分でどうするかにどうしたいかを考えろ、ジェイド。一方的な事を言っているのは俺自身も理解はしているが、俺が言わんとしていることはお前も決して理解出来ない訳じゃないだろう。だからこそ俺から言われたことだからそうしたのだと言い訳に言い分を口にすることなく、自分自身の考えでこれからどうするかを選択をしろ。それで研究職を辞めたいとマルクトから離れるのもお前の自由だ」
「陛下・・・っ」
「・・・さぁ、もうここを出ろ。ここから出たならその先からはもう今までのように気軽な関係には戻れない・・・それを承知する形でな」
「っ・・・失礼します・・・」
・・・そして最後の助言及び通達と真剣に迷うそぶりを一切見せずに話すだけ話をしていくピオニーに、ジェイドは何かを言いたげにしながらも結局は取り付く島のない様子に力なさげに頷いた後に私室を後にしていった・・・









(・・・あの時からジェイドは俺の前に姿を現さなくなった。そして嫌がっていた様子を見せていた割に、研究職も軍も辞めるようなこともなかったばかりか一応養子を取ったとも聞いている・・・だがおそらく、いやまず間違いなくジェイドは納得というか心から満足してはいないだろうな。あいつの性格を考えれば分かる)
・・・そして時間は戻り、現在のピオニーの私室。
ピオニーは現在のジェイドについて聞き及んだ情報を元に考えを深めていき、現状を理解はして動いてはいても心からは納得してないだろうと。
(あぁやって俺が一方的に言いたいことだけ言って以降は何もなし、と言うことが響いてるのもある・・・しかし何より言えることとしては、あいつは深く自分の立場や周りについてを考えることを拒否していた。それは俺も同じような物だったと言ってしまえばそれまでだが、それでも一応は俺は丞相達のおかげで自分を振り返ることが出来た・・・だがあいつは自身の事についてを振り返りたいと思っていないし、俺からあぁ言わなかったら今回のように考えて動くことなど考えることもなかっただろう。カーティス家の名目についても、自身の進退についても・・・そしてぬるま湯のようだった俺達の関係についてもな・・・)
更にまたジェイドについてを考えていくピオニーだが、自身らのかつての関係について苦い想いを抱いていた。









・・・ケテルブルクというグランコクマから遠く離れた地にて、幼かったことに物珍しいという気持ちからジェイド達と同じ私塾に通うようになって立場を越えた幼馴染みとなったピオニー。そこから自分以外の皇族達が殺しあって全員死んだことから皇帝になるのは貴方以外にいないとグランコクマに強制的に呼び出されたピオニーは、しばらくの間を一人孤独に過ごしてきた。

だがそうしてしばらく過ごす中でカーティス家の養子として引き取られたジェイドが軍人として頭角を見せたことと、そんなジェイドを見付けたことからピオニーは内心嬉しくなったことを隠すことなくお気に入りの人物として近くに置くことにした。そしてそんな皇帝お気に入りの人物という見られ方をしたジェイドだが、その持ち前の能力の高さからお気に入りと言われることに良からぬ目を向けられることはあっても、下手なちょっかいをかけられることはなく二人の気安い関係に口を直接出す者はいなかったのだが・・・それが今となっては良くなかったと、ピオニーも強く感じてしまっていた。









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