時を経た変化

「・・・今更かと思うかもしれんが、マルクトの皇帝としてやるべきことをやらなければならない・・・そう丞相達から思い知らされたから、こういった考えになっていったんだ」
「丞相達から・・・?」
そうして目を空け真っ直ぐに孔明達の事を口にするピオニーに、ジェイドは訝しげに眉をひそめる。
「キムラスカにダアトもそうだが、マルクトも決して安穏と出来る状態ではない・・・そういうように言われた俺は皇帝としての責務を果たすにはどうすればいいかを考えた上で、色々とやることにした。現にこの半年を研究職として活動していたお前の耳には入ってないだろうが、そろそろ結婚をするようにと考えて動いている」
「っ!・・・それは、本当なのですか?」
「嘘を言って何になる。と言っても部屋の環境をどうにかしてほしいと言われるのは目に見えているから、寝室は別で過ごすことは呑んでもらうがな」
「貴方がそういった条件とは言え、結婚をするなどと言うとは・・・」
「それだけ俺も本気だということだ」
ピオニーはまずはとばかりに自身の結婚についてを口にし、その中身よりもそう口にしたこと自体にジェイドは少なからずの驚きを浮かべていた。前々から結婚についてはのらりくらりとかわしていたピオニーが、おふざけの様子は一切なしに本気という様子を見せていることに。
「・・・俺も四捨五入すればもう四十になるいい歳の中年だ。同年代の奴らの中じゃ若いつもりじゃいるが、それはあくまで姿形に限っただけであり皇帝という身分による贅沢もそうだが健康管理をされているからだ。しかしそれも歳を取れば取るほど健康を維持しがたくなっていく上、生ある者はいつか必ず死ぬ・・・そうなる前に皇帝としてやるべきことをやらなければならない。そう思ったからこそ心を改めて結婚について動くと決めたが、それはお前に研究職に就いてもらい新たな譜業の開発に務めてもらいたいというのもまた同じように考えてのことだ」
「・・・そのお気持ちは分かりますが、ならばこそ今までのように私にそうしろと何故命令しないのですか?必要なことだと考えるならこそ、今までのように私を振り回す形で事を進めるのが楽ではないのですか?」
「・・・半年前の俺だったならそういったように気楽に言っていただろうな。だがこれからはマルクトに嫁の事もそうだが、お前との距離感についても考えた上でこう言っているんだ」
「私との距離感?」
「・・・要はもうこのように気軽にお前が俺に会いに来るのも、その逆も無しにしようということだ」
「っ!?」
・・・ここでピオニーの口からまさかの言葉が出てきたことに、ジェイドの表情に驚愕が一気に浮かび上がった。ピオニーの覚悟の程が伺える今までの話の中身より、自分との関係を変えるといったことに。
「・・・お前がそうして驚く理由は分からんでもない。だが今までの俺とお前の関係は、俺が望んだこともあるがあまりにも皇帝と兵士というには幼馴染みという関係が絡み合ってあまりにも端から見れば異質な物だ。それを俺の気持ちや考え一つで変えるのはお前からして気持ち良くないだろうが、これからの事にお前の事を考えればこうするのは当然のことだ」
その反応にピオニーは理解をしつつも当然とばかりに返す。これからの為だと。









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