軍師と女忍、総合する

「それでそっちはどうですか、明日の準備は?」
「取り敢えず問題はありません。明日の準備は滞りなく進んでいますし、不安要素も特にないですからね。後は当日になって突発的な行動を取る者達への警戒を怠らずにいて何かあっても即座に対応すれば問題はないでしょう・・・つまりは明日を乗り切れさえすれば、我々の目的は完全に峠は越えたと言えます」
「長かったですね~・・・これまで・・・」
そうしてくのいちが今度は自分から話題を振り孔明はすんなりと答えていくのだが、明日で目的は大体達成されるとの声にしみじみとした声を漏らす・・・これまで相当に長い時間を様々な変革の為に過ごしてきて、その峠を越える瞬間が近いことを感じて。
「・・・今言うことではないかもしれませんが、こうしてここまで来れたのは貴女の尽力があってこそです。本当にありがとうございました」
「えっ、いきなりどうしたんですか、急に改まって・・・?」
「思えばこうして貴女に労いの言葉をかける機会もありませんでしたし、明日が無事に終われば今言ったように峠を越えたようなものです。礼を言うには少々早いかとは思いましたが、これからの事を思うとあまり私と貴女が二人でいれる時間はしばらくは取れないでしょう。ですから先に言っておきたいと思ったんですよ」
「う~ん・・・そういう風にいきなり言われると思ってなかったから、ちょっとムズムズしやす・・・」
そんな空気の中で唐突に頭を下げられ礼を言われたくのいちは戸惑いの声を漏らすが、ちょうどよかったからとの答えに少し気恥ずかしげに頬を染めながら視線を少し背ける。タイミング的にそのように言われるとは思っていなかったのもあるが、案外こう言った言葉にくのいちは弱かった為に。
「とは言え、まずは明日を越えることが重要です・・・何もないに越したことはありませんが、何かあった時はよろしくお願いしますね」
「はい、かしこまりました~!」
ただ気を引き締める必要があると改めて口にする孔明に、くのいちは元気よく返す。孔明の言葉に意気が上がっているというのがよく分かるように。











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