軍師と女忍、総合する

「まず今聞きましたが、もう処断の準備はすぐに出来るとの事ですからあさってにはそう出来るように場の準備及び人々への宣伝をお願いします。勿論表向きはローレライの事は抜きでです」
「分かっています」
「後聞いていたらでいいですが、謡将に大詠師の二人の様子はいかがですか?」
「私は直接会った訳ではありませんが、まだ謡将にラルゴは大人しくはしてはいてもやはりモースは人が来る度にここから出せと言ったりここから出たら貴様ら全員死刑だと命じてやるとがなりたてているようです。とてもその処断の場では何も言わずに黙っているようなことはないと思われますが、轡を噛ませてその場にいさせますか?」
「そうさせましょう。彼には場にいていただかなくてはなりませんが、話の際に一つ一つヤジを飛ばされては話が止まりますし、何より保守派の方々が衝動的に動いた場合の事を考えればあまり良くないですからね」
「分かりました、兵にはその時にそうするように伝えておきましょう」
そうして早速と場の準備に取り掛かるようにと孔明はリグレットに命を下していくのだが、その中身に異を唱えるような者はこの中には当然と言うよう誰一人いなかった。その時のモースの状況に哀れみを抱くような者など。
「ではヴァン達に関しては轡を噛ませますか?」
「いえ、それはいいでしょう。むしろ彼には大詠師よりの命によりこのようなことをしてきたといったことの証言者になっていただきますから、轡を噛ませていては手間になります」
「・・・丞相はもう疑ってないと言うか、謡将がこちらの問い掛けに素直に答えてくれると確信しているんですね」
「えぇ。彼にとっては自身の思っていた展開とは大幅に違っているとは言え、大詠師を始めとした預言保守派が夢見るような未来とはかけ離れた未来を我々が作ることをその場で察するでしょう。勿論即興で話をするのは危険ですから妻に後で伺いをたてに行ってもらって確認をしますが、まず彼は我々にわざわざ反抗しようとはしないと思われます」
「それならいいんですが、その時はまずモースはうるさくなりそうですね。自分にも喋らせろと身じろぎをし、発言をさせろとばかりにくぐもった声を漏らして」
「それは仕方ありませんよ、大詠師がそんな諦めのいい方でしたらそんな苦労はしていませんからね」
次にイオンがヴァン達についての話に移るがまず大丈夫と返す孔明に、対比してモースがやはり酷くなるだろうと二人揃って苦笑気味な顔を浮かべる。
「では今の話を踏まえて私はここで失礼します。早速用意に取り掛かりたいと思いますので」
「えぇ、お願いします」
「はっ」
そんな様子を見てリグレットは退出を切り出し、孔明が頷いた後に敬礼をして退出していく。
「・・・さて、とりあえずはくのいちがこちらに来るまで執務を行いましょう。これからの事を考えれば、あまり仕事を貯めてはいられませんからね」
「はい」
それでリグレットが部屋から出ていった所でしばらく仕事をと孔明は言い、二人はしっかりと頷く。









・・・それで後にくのいちがディストと共に導師の私室を訪れ、しばらくの時間を話に費やした。そして翌日、くのいちはヴァンの入れられている牢屋を訪れた。









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