軍師と女忍、総合する

・・・そうして二人きりという形でグランコクマを出た孔明達はバチカルに辿り着いた。



「・・・ふむ、分かった。マルクトと同じよう、こちらでもそのようなことを盾にして調子に乗るような事をされても困るのでな」
「はい、よろしくお願いします」
それでバチカルの謁見の間に来て報告プラス預言を盾にして行動しかねない者達についても報告し終わり、インゴベルトもその対策を取ると頷き孔明達は頭を下げる。
「時に、ルーク様の様子はこの数日どうでしょうか?」
「・・・依然変わらないというか、戸惑った状態が続いているという報告がクリムゾンより届いておる。だからクリムゾンが単純に具合が良くないのかと問うと、良くないどころかむしろ良すぎるくらいだというのが違和感だと正直に明かしたらしい」
「良すぎて戸惑う、ですか・・・」
そうして孔明が次に発したアッシュの状態を問う言葉についてだが、インゴベルトはどういうことかと分からないといったように答えを返す様子に少し考え込む。確かに状態が良くて戸惑うと言うのはあまり何とも言い難い状態ではあると。
「・・・ルーク様が嘘をつかれているというようには公爵は感じられてはいないのですね?」
「うむ・・・それはわしも確認したが、到底演技をしているような様子には見えなかったと聞いておる。そちらもそう聞くと演技がうまいと言えるような人物ではないことは理解しておるだろう?」
「はい、それは」
孔明はその様子に演技かを確認するが、インゴベルトからの返答にすぐに頷く。言いたくないことを包み隠す腹芸としての演技などアッシュに出来ないことなど、インゴベルトの言葉通りに出来ないというのは理解していた為に。
「・・・確かに思うところがないかと言えば嘘にはなるが、それでも話の限りではもう特に体に悪い影響もないということは聞いているしルーク自身調子自体は悪くないと言っておる。だからもう何かない限りはそちらに後の対応を頼むことはしないつもりだ」
「よろしいのですか?」
「よいも何も今の良好だという体の状態に戸惑っているのはルーク自身だ。状態が悪くなるのならともかく、今は特に体に不安を抱えるような要素はないという状態だ。そちらが気を使ってくれていることは承知はしているが、後は当人の問題になる・・・もしものことがあればそちらに連絡するということにする故、こちらの事は気にしなくても構わん」
「そういうことでしたら分かりました。ですが何かありましたら遠慮なくこちらに連絡をされてください」
「うむ、そうさせてもらおう」
そんなアッシュに対して心残りはあるがもういいと複雑さを滲ませるインゴベルトに、確認を取った後に孔明は困ったことがあればと告げて感謝の礼を受ける。









・・・それで以降は特に何もインゴベルトから言われる事はなく孔明達はバチカルを出、この旅の最後の目的地でありアルビオールの役目が終わるダアトへと向かう。
「旦那様~、どう思いますかい?さっきの話」
「彼の事ですか・・・実際に会って話をしないと確信は出来ませんが、ディストの話のままに足りない物や痛みに苦しんでいた部分を補ったことからの戸惑いではあることは間違いないと思います。ただその戸惑いに関してですが、少し考えたことがあるのでダアトに戻ったならディストに話を聞いてみたいと思います。私の推測が合っているかどうかを聞くために」
「今じゃ駄目なんで?」
「その推測が正しいかは私も自信がないですからね。それに彼と接触はもう簡単には出来ないでしょうから、迂闊な推測だけを妄りに口にして今後の事を判断したくないんですよ」
「そっすか~。んじゃディストとの時にそれは聞きますね~」
そこでくのいちは孔明にアッシュについてどうかと聞くが、今は答えられないとする答えに一先ず納得する・・・一応あまり前に聞こえないように配慮しているとは言え、前にギンジがいるという状態もあるからそれで納得する形で収めてだ。









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