軍師と女忍、総合する

「・・・要請があるなら大詠師としての立場を受け入れることもやぶさかではありませんが、今回の一連の流れに関しましては私は自分がやったことだと喧伝する事はしません。理由としましては私がやったことだと言うより、導師が行動したというように宣伝した方が効果があるからです」
「導師が、ですか?」
「ダアトが預言保守派と改革派の二つに分かれてそれぞれの党首と目されているのは少将もご存じの筈です。そして今回の件に関してどういった着地点を作るかと考えると、改革派が何故いかにして生まれたのかという流れを作った上で行動を始めたのか・・・それらを考えての事です」
「成程・・・導師が事実を知って動いたからこそ、と言ったようにするのが収まりがいいということですか」
「そういうことになります」
そして目を開け受け入れるよりイオンにこの一連の流れについて責任者になってもらうことが重要と孔明は語っていき、フリングスはその中身を聞いていき納得の様子を浮かべる。
「それに私は元々は大詠師の配下というのもありますが、何よりも知名度というものがあります。私が主導して事を為していたと言ったように進めるにはあまり私はダアトの中では大々的に活動はしていませんでしたし、顔も認知されているとも言えません。現にあまりダアトで神託の盾として活動していなかったとは言え、ティアは私の顔を知りませんでしたからね」
「あぁ、そう言えば確かに大詠師の配下という身にありながらカイツールでは初めて顔を見たと言った様子でしたね」
その上で自身の立場や名声についてを語る孔明に、ジェイドもあぁというように思い出しながら声を漏らす。位置として知っている筈の人物であるのに、背景に様々あるとは言えティアが孔明の顔すら知らなかった事を。
「無論、私が敢えて人前に顔を出すようなことにならないように気をつけていた面があることは否定出来ません。裏で色々と動くことになると思っていたことから、あまり顔が売れていてもいいことなどありませんでしたからね・・・ですので端から見ればポッと出の私がこういう事情に経緯があったと説明するより、導師が主だって動いていたと説明して私はあくまで協力したと言った体を取った方がよろしいと考えています。そしてそこであくまで大詠師の配下であり、その大詠師の間蝶のようなことをしていた私がすぐに次期大詠師になるというのは風聞が悪いと言わざるを得ません。下手をすればお前がモース様を地位と引き換えに売ったんだろうといったように言われ、余計な保守派と改革派によるダアトの中でのいさかいの種になりかねません」
「っ!・・・そう考えれば丞相が主だった役割を負うのではなく、敢えて裏方として振る舞った方がよいということになるというわけですか・・・」
「私が矢面に立って事態が無事に進むならいいでしょうし、その時に臆病風に吹かれるようなつもりはありません。ですがこれよりのダアトではあまり荒事が起きるのは前にも言った通りですから、そういった可能性を排除する為に昇進は打診されてもすぐには受けないようにする予定です」
「そういうことですか・・・」
それらを含めて自分の立場に名がいかに端から見たら乏しいのかを自身が分かっていて行動するという孔明に、フリングスもそうだがジェイドもそっとその話に頷いていた。確かにあまり孔明の地位を上げるにはよい状況ではないし、そうしない方がいいというよう。









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