「それでは私達は少ししたら出発したいと思いますが、何か聞きたいことに話したいことなどはありますか？」
「・・・この後出発とのことですが、ユリアシティには向かわれるのですか？あそこに報告をするにしてもしないにしてもどちらにしても面倒は待っているかと思いますが・・・」
「手紙を出すだけに留めておきますが、ローレライについては報告はしません。今のユリアシティならまだいいかもしれませんが、万が一ローレライの存在に暴走した場合はユリアシティに対して何らかの制裁に出なければならなくなります・・・今後のダアトとユリアシティの関係の事を考えると、とてもではありませんが大丈夫だとタカをくくって物事を判断するのは良くないと考えての事です」
「そう言うことですか・・・」
それで何かあるかを聞く孔明にトリトハイムはユリアシティへの対応を問うと、手紙を渡すだけにした上でローレライについては伝えないと理由つきで返すと納得した様子を浮かべる。
「無論、ユリアシティとの関係に関してはローレライの事でせめて報告くらいは欲しかったという意見も出てくる可能性も十分に有り得ます。ですが今回はローレライとの遭遇に見送りはあくまで対外的には、偶発的に起きたことであると見せなければなりません。連絡をしなかったことに関してはこちらの不手際及び急がなくてはならなかったからという体にした方がよろしいでしょう」
「それで私は構いませんが、その前の段階の所の謡将や大詠師達の処断に関しては意見は伺わなくてよろしいのですか？おそらく今までの事からあちらもそれでいいといった答えを返してはくるでしょうが、感情的な事に限って言うなら市長にティア＝グランツの気持ちとしてはあまり望ましくはないでしょうが・・・」
「それはあくまでも感情的な部分でだけの事で、実際に我々が話をしに行っても彼らを説き伏せるという結果に変わりはないでしょう・・・裏を返せばそれほどに私は一片の情けからでも、謡将達を殺さないようにした上で僅かでも自由を与えるような状態になることを望んでいません。その時には十中八九などという言葉を使うまでもなく、彼らは行動を起こすでしょう。特に大詠師に関してはどんな手段・・・それこそ私に導師に詠師達と自分に歯向かった者に預言復活を阻む者は容赦はしないとあらゆる手段を講じた上で、キムラスカとマルクトの戦争に無理矢理にこじつけようとするでしょうね」
「っ！」
だから手紙だけでいいと言う孔明にトリトハイムはそれでいいのかと聞き返すが、二人を始めとして決して逃がすわけにはいかないとモースの取るだろう行動についてを返され、周りの詠師共々一斉に息を呑んだ・・・あくまで可能性でしかないとは言え、モースの取るだろう行動があまりにも害悪極まりない行動であったために。
「そして謡将は謡将で大詠師と違った意味で危険ですが、大詠師のようなある意味読みやすい行動をすんなりと取ってくれるとも思えません。むしろ何をしでかすか分からないという点では謡将の方が大詠師より厄介でしょうが、自分達ならそんなことをさせないであったりちゃんと見張るから大丈夫だという言葉を容易に信じる訳にはいきません・・・特にティアが兄の命惜しさにそう言ってきても、アクゼリュスで謡将が行動を起こすまで何も言わずに黙っていた前科を考えれば信用など尚更に出来ません」
「た、確かにそうですね・・・」
更にヴァンについても言及した上でティアが陳情してきても信じられるはずがないと言い切る孔明に、トリトハイム達は冷や汗混じりに頷くしかなかった。とてもティアがヴァンだけでも見張りが出来ると思えないという考えに。









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