軍師と女忍、核心へ

「・・・まぁ少し意地が悪いことを言ったが、基本的に俺としてはそちらとはいい付き合いが出来ればと思っている。言い方は悪いがモースに主だった過激な預言保守派がいなくなるなら、何か余程の事情がなければこれからダアトと敵対することもないだろうからな」
「それはこちらも同じように思っております。ただローレライを見送ってしばらくはダアト内の安定に我々は務めますので、ご容赦を」
「あぁ、それは仕方無いからな」
そうしてピオニーはさっきの発言についてを謝罪し、お互い様だといったような言葉で返され納得する。
「・・・ただそうなると、次がこうして丞相達がグランコクマに来れる最後の機会ということになるか・・・ダアトという帰る場所があるから致し方無いことだとは承知はしているが、少し寂しく感じるな・・・」
「根無し草で放蕩に生きることが出来る者はいますが、我々には目標と共に責任があります。必要があるからとは言え預言からの脱却を行い、そんな中でダアトを問題ない物とする責任が・・・そう言ってくださることはありがたく思いますが、各々が各々為すべき事を為していく為の時間の訪れは避けられませんからね」
「あぁ、分かっているさ」
しかしそうして表情を少し寂しそうにするピオニーだが、孔明からの励ましと責任を問いかけるような言葉に微笑を浮かべて頷き返す。



(まぁ終わりが近いのは確かなんすけど、同時に始まりにもなるんすよね~。主にあっしの活動っていう意味じゃあね)
そんな光景を見ながらまたくのいちは一人思う・・・孔明は預言保守派に関して単なる抗議程度に留まるような事にならない可能性を口にしたが、そういった動きを察知して前もって対処するのは孔明より影で動く自分の方である。そしてその為にはいかなる手段を問わないつもりでくのいちはいる・・・何故ならそれが自分の役割だと思っているからだ。
(これからしばらくは忍として奔走しないとね~。これまでの旅は楽しかったけど、やることはやらないといけないからね)
だからこそ迷いなくくのいち自らの手を汚すことを選べる・・・自分がやらねばならないと思えるからこそだ。









・・・そうしてその後ピオニーが部屋から出ていき、孔明達はゆっくりと休息を取った。そして翌日、一行はピオニー達に出立の挨拶をした後にグランコクマを出た。最後の仕上げを行う為に。









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