軍師と女忍、核心へ

「そしてそれは我々も同様です。一応は以前にお頼みしたようにダアトから出たいと思われる人々を受け入れていただけるように言いましたが、それでもダアトから出ない人々全員が全員不満を我々に持たないとは限りません。勿論我々も手を尽くしますが、そうそう簡単には人の心は変わりません・・・それこそ時間をじっくりとかけていくことが必要になります。預言がないことが当然だと人々が言えて、そういう世界が普通だと言える状態にするには。その為には無闇に見栄を浮かべるより、時には弱味を受け入れることも重要です」
「弱味を、か・・・まぁ確かにな。そう考えれば俺もお前達にマルクトの未来を思い、世継ぎの事を話したがあれも言ってみればマルクトの弱味であり俺の抱える弱味だ。それを認めてさらけ出せると言うのは確かに重要なのだろうな」
「えぇ。ただしそういった弱味をさらけ出せる相手は当然選ぶべきではありますし、陛下もそう思われた上で世継ぎ関連について申し上げたことは自覚なされているのでしょう」
「確かにな。こうして来訪する丞相達と話す事が習慣となっちまったのもあるし、丞相が真摯に答えてくれちまうもんだからついついとこちらの内情について言ってしまうようになっちまった」
「見知った関係の気安さが良いこととは限りませんが、それでもピオニー陛下よりの信頼を多少なりにも向けられていると私は思っております。そして私もまた、ピオニー陛下への信頼を少なからず感じております。このような話をしたのもあり、ダアトへの侵攻はそうそう理由がなければなさることはないだろうと」
「確実にしない、とは言わないんだな?」
「状況が求め、それが最善だと考えられたなら陛下はそのように手を打たれるでしょう。そして同時に短慮に身を任せ、後先を考えないような選択をしないだろうという方だとも私は思っています」
「・・・世辞、ではないと丞相なら言うんだろうがどうもおもはゆいな・・・そのように言われると・・・」
孔明はピオニーとその話についてを続けていき、二転三転としていく話の中でピオニーは少し苦笑気味に頭をかく。孔明からの評価が決して悪くない物であると共に、先程まで意図的な部分を自分で出していたとは言え敵対するといった圧力をかけていたが為に。



(う~ん。やっぱり旦那様の口のうまさには脱帽しちゃうな~。さっきまであんな風に険悪な空気を醸し出していたのに、こんな感じにあっさりとピオニー陛下を丸め込めちゃうなんて)
そんな光景を傍目から見ていたくのいちはその孔明の手際の良さに流石といった声を内心で上げていた。
(まぁピオニー陛下としては様々な思惑があったんだろうけど、旦那様から聞いたことを全て鵜呑みにし過ぎるのも良くないな~。確かにダアトには色々と問題があるのは事実だけれど、それを補ってあまりあるような形で旦那様や私達がいるんだけどね)
そして対照的にピオニーに対し、くのいちは内心で甘いと漏らす・・・確かに孔明が言ったような不安要素がダアトには言ってない事も含めてまだまだあるが、そう言ったことをどうするのかを考えるのと対処する為に孔明や自分達がいる。そして現にマルクト皇帝からの圧力に対して孔明は穏やかに事を済ませることが出来た。それも圧力をかけてきた当人には自覚させないままにだ・・・故にくのいちはピオニーを甘いといったように評する形を内心で取ったのだ。もう少し疑うべきさを疑い、そして孔明という人物に関して慎重に考え向き合うべきだったと。









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