軍師と女忍、核心へ

・・・そうしてアッシュの不満そうな様子はともかくとし、孔明達を乗せたアルビオールはグランコクマへと向かった。









「・・・ふむ、ローレライが同行することになったか・・・話には聞いていたが、こうして実際に会えることになるとはな」
『とは言え丞相に協力し終わったなら我はすぐに音譜帯に昇ることにしている。丞相にどのような思惑があるかによるが、そうそう何度も訪れることはないだろう』
「ふむ・・・ちなみに丞相としてはこれからどうするつもりなんだ?」
・・・それで辿り着いたグランコクマの謁見の間にて、ローレライに出てきてもらう形で会話をする孔明達はピオニーの興味深そうな視線を受ける。
「本来望ましいのはローレライをちゃんとした形で儀式のような形で見送り、人々にちゃんとした形で区切りをつけたと分かるようにしたいと思ってはいます。ですがそれらが望ましくない現状があることから、不意討ちのような形でローレライを送り出すことにします」
「不意討ちだと?」
「我々はローレライの解放については覚悟の上で行動し、彼を音譜帯に送り出すことについては問題ないと見ています。ですが人々というより、モースに思考の程近い預言保守派からすればただ彼の事実に気持ちを伝えてもそうならないのは目に見えています」
「成程・・・時間を空けてローレライを解放すると宣言したなら、そういった預言保守派がそちらの元に来かねない。いや、それだけならまだしもローレライを送り出すことに反対だと言うばかりか、下手をすれば実力行使でローレライの存在を奪いに来かねない・・・そういった事態についてを丞相は考えているということか」
「その通りです、陛下」
そこで孔明は前置きをしつつ先の行動及び預言保守派についてを述べると、ピオニーもその意味に気付き危惧している事についてを真剣に口にすると頷いて返す。
「騙し討ちのようなことをすることになるのは承知はしています。ですがこれから先の未来に向けて第七譜石に詠まれたような未来にならないようにすることもそうですが、預言保守派にその保守派の影響を受けた者達の活動の活性化を防ぎたいと思っています。ただそうするにあたりそのきっかけを作りたくはありませんが、預言保守派に大義名分を与えることも人を集めるための準備期間も与えたくはありません。もしそんなことがローレライを見送る場で起こったなら例え我々がそれらの人々を退けたとしても、後々の禍根及びダアトの本当の意味での二分化を招きかねません。ですので表向きはローレライの解放はあらかじめ予定されていたといった物ではなく、大詠師に謡将の公開裁判の際に見付かったローレライの見送りをするといった筋書きにする予定です」
「公開裁判・・・ということは二人を始めとした面々を殺す大義名分を作る場にし、同時にその流れからローレライの言葉と共に預言を復活することを望むのは間違いだといった流れにもするのか」
「大まかに言えばそういうことになります」
孔明はそこからいかに預言保守派の気持ちを奮い立たせないようにするためにいくのかを話していき、ピオニーもその狙いに気付きその言葉を肯定する。モースとヴァンの二人を利用して事をうまくいかせるのだということを。









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