軍師と女忍、核心へ

「・・・ただ協力をしていただけるということでその前に確認としてお聞きしますが、貴方と前に話した際に出てきた音譜帯に向かうという話・・・あれが最終的な貴方の目的なのですね?」
『うむ・・・他の意識集合体と同じように音譜帯に行き、オールドラントを見守りたいと思っている。とは言え預言に詠まれた中身の運命から離れたこの星がいつまで持つかは分からぬが、それでもユリアが夢を見てそなたらが達成しようとしている預言から離れた世界になるなら我はその世界を他の意識集合体達と共に最後まで見届ける・・・ただそちらが望むならより良い未来を作るため、その前に協力出来ることなら協力を惜しむつもりはない』
「その言葉に偽りはないですか?」
『偽りはないが、そもそもを言うなら音譜帯に行くだけならこうして話をする必要もなく我は誰の手を借りることもなく向かうことは出来る。しかしそれをしないということが我が裏切らないという証明になるが、それでも我の事を信用出来ないと言うのであればその鍵はそちらで持っていてもらっていて構わぬ。そちらがプラネットストームを止めることを計画していることは我も見知りはしてはいるが、何事もなく安全に止めることが出来るのはこのラジエイトゲートの最深部にある譜陣で鍵を使うこと以外にない』
「・・・それは本当なのですか?」
『うむ。ただ鍵を用いれば再び譜陣を復活させプラネットストームの再稼働をさせることも出来るため、事が済んだなら我が鍵を手元に戻した上で音譜帯に昇ることにするが・・・それは構わぬか?』
「そうですね、むしろその方がいいでしょう。ディストにはプラネットストームの止め方について研究をしてもらいましたが安全で確実ならそちらの方がよろしいでしょうし、何より鍵を用いれば再びプラネットストームの稼働が可能だというなら下手に誰かの手に入るような場所にあるよりは安全でしょうね」
「むがっ、ふぐっ・・・!」
「あぁ、すみません。くのいち、外してやってください」
「はいな~」
たた孔明はそんな表情を浮かべた後にちゃんと冷静にローレライと会話を交わして情報を聞き入れてくるが、そこでさりげに後ろ手をくのいちに拘束されたアッシュが何かを主張し始めた為に拘束を外すように言うと、スルスルとくのいちはアッシュの猿ぐつわを外す。
「・・・おい、テメェ!今まで散々ローレライのことを疑っておきながら、今の話だけで全部信じるっていうのか!?」
「何かと思えばそういうことを言いたかったのですか・・・まぁ今こうして実際に顔を合わせて話すのは初めてではありますから、言いたいことは分からないではありません。ですがならばこそお聞きしますが、仮に疑いを持ったとして貴方はローレライに対してどうすることを望むのですか?」
「な、何・・・?」
「本当のことしか言わないようにと何らかの痛い目に会わせることですか?彼を信用出来ないからと殺すとでもいうんですか?彼を無理矢理にでも付き従わせるとでも言うのですか?・・・貴方がどのような考えを持っているか、今挙げた選択肢の中に真実があるかどうかは敢えて問いません。そして正直な事を申し上げるなら私も全てが全てを鵜呑みにするつもりはありません・・・ですが発言の真意を読み取り事実かどうかを確認して動くのが、団体の代表者としての責務です。それを内に秘めることはおろか堂々とさらけ出すばかりか、何の考えもなく否定するだけというのは為政者となるには全く望ましくない行動ですよ」
「ぐっ・・・!?」
そうして自由になったアッシュはすぐさま孔明の態度についてを問題視すると怒声を向けるが・・・そこは流石孔明というように余裕を見せるばかりか、為政者の心構えについてまでもを説くとアッシュは言葉を詰まらせた。ここで更なる勢いだけの怒声で返せば、それこそ考えなしの愚か者になりかねないと流石に感じただろう様子で。









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