軍師と女忍、核心へ

「そう思われるのでしたらいきなりとは言わずとも、時期を見て臣下達に手頃な相手を見繕うことについてを伝えるように話をされてください。ここ最近はまだそんなことを考える時間など無かったからいいでしょうが、少し落ち着いたらそうしてもらおうと動き出す者も出てくるでしょうからね」
「分かっている・・・散々その事についてはいつも言われてきたが、もう今の状況を続ければ俺が何か起きた時に備えることはおろか混乱に陥ることは避けられんだろう。まだ俺としては皇帝の座から降りるつもりはないが、それでもこれからのことを考えれば後継者を作らねばならんだろうな・・・」
ディストはそんなピオニーに厳しく言葉をかけていき、分かっていると言ったように力ない言葉を漏らす。
「・・・丞相。ちなみに聞くが、どれだけ俺は子どもを作るべきだと思う?」
「一人の女性のみを愛するか後宮を作られるかどちらを選ばれるかは分かりませんが、後の世代の為に対策を取られて行動をされるのであれば作られるだけ作られても構わないかと思われます。キムラスカもそうですがそれ以上にマルクトの後継者の問題に関しましては早急に取り組まねば、取り返しのつかないことになりかねません・・・あくまで一人だけに相手を絞られるのが気が引けると言うのであれば、後宮とまでは言わずとも陛下の子どもを生むことに育てることと生活の保証を引き換えに子どもを設けられることも考えられてもよろしいかと思います。繰り返すようですが、キムラスカよりマルクトの方が後継者問題に関しては早く解決が求められますからね」
「・・・確かにあまり一人にこだわるには、俺の歳もあって厳しい部分があるのは否定は出来んか・・・それに対してアッシュとナタリア殿下の歳を考えれば、后妃を一人に選ぶ時間もまた大きな負担になる、か・・・・・・分かった、この件に関しては臣下も交えて話をすることにする。助言、感謝しよう」
「いえ、役に立ったのであれば幸いです」
そこで次にピオニーは孔明にどうかと聞くと選択肢を狭める事は良くないといったようにマルクトの現状について返し、少し複雑さを滲ませつつちゃんと考えると告げると丁寧に頭を下げる。
「・・・しかし改めて思うが、本当にダアトと言うかローレライ教団の人間としては破格な人間だな。丞相にその奥方は。こうして今のように時々会ってきたが、俺の知る教団の人間とは雲泥の差だ・・・ディストもそうだが、リグレット達もそう思っているだろ?」
「・・・はい。私からすれば丞相は弟の命を救ってくれた恩人であり、今までの教団の人間と比べるまでもない方だと思っています。それこそ丞相の為であれば、命を投げ出すことも辞さない覚悟でいます・・・!」
「そう言っていただけるのはありがたく受け取らせてはいただきますが、私の為に命を賭けていただくつもりはありません。危険な任務に命がけで着いていただくことはあるでしょうが、それでも無事に任務を達成出来ると信じているからこそ任せるのであり、むざむざと貴女方の命を奪うような命令を下すつもりはありませんし、命を投げ出すようなことはしなくても構いませんよ」
「丞相・・・!」
そんな姿にピオニーは空気を変えるように孔明についてを聞くとリグレットは熱を持った様子で話をするが、孔明が柔らかい微笑で返す様子にリグレットもだが周りのディスト達も感動したような視線を向けた。様々に立場や考えに違いはあれど、敬愛する者への思いを灯すよう。









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