軍師と女忍、核心へ

「と言うわけですので、もう彼については以降は話に出さないようにしてください。端を発したのは貴方ではありますが、だからこそ貴方がその端を終わらせて締めるべきです。自らが言い出したことの責任を取る形でね」
「ぐぅっ・・・!?」
更にそこで孔明が口にした言葉に、たまらずアッシュは反論の言葉を返すことが出来ずに詰まった声を漏らすしか出来なかった。もう自分がルークについて何かの話題に出すことを終わらせなければならない上で、反論など一言でもすればどういうことだと言われかねないことになることをアッシュ自身も嫌でも理解した形で。
「「「「・・・」」」」
そして周囲に視線を向けるだけの余裕など一片もなかったアッシュは気付いていなかった・・・そうしてルークという体のいい不満をぶつけるサンドバッグがいなくなったことに困惑する姿を、くのいち達が冷めたように見ていたことになど・・・









・・・その話以降、アッシュは孔明達に話しかけるような事などなく沈黙することとなった。苦い表情であったり複雑そうな表情であったりと、何かを考え込みつつコロコロと分かりやすく表情を変える形でだ。

そんなアッシュに誰も何も言うことなくアルビオール内は静かなままの状態で進み、グランコクマへと辿り着いた。



「・・・そうか。キムラスカはそのようになっているか」
「はっ。つきましてはマルクトはどのようになっていますか?」
「あぁ、こちらも大方似たような物だ。国内での反発は特に起きていないといった報告が挙がっている。だからそちらが行動を起こしても特に問題はないだろう」
「そうですか。ではこれで心置きなく外殻大地の降下及び、ローレライの解放が出来ますね」
「あぁ、後はそちらが行動をしてローレライと対峙してどのような答えが返ってくるかだ」
・・・そうして謁見の間に来た孔明達はピオニーと話をし、報告を終えた所でポンとピオニーは手で膝を叩く。
「よし、今日はここに泊まれ。バチカルから飛んできてアルビオールの操縦士も疲れているだろうから、もしものことを考えてそちらも鋭気を養っておいた方がいいだろう」
「よろしいのですか?」
「あぁ。ただしバチカルに報告に行くよりまずはこちらに報告に来てくれ。気持ち的な問題と言えばそれまでではあるが、早く報告を聞きたいからな」
「はい、分かりました。では今日はお言葉に甘えてこちらに泊まらせていただきましょう」
そうして笑顔を見せて泊まるように勧めるピオニーに、孔明もならとすぐに微笑を浮かべて頷く。オマケ程度に言われた反対するような要素は特にないと。









・・・そうして孔明達は謁見の間での話を終え、客室へと通された。勿論というか、アッシュは一人別の部屋に通される形でだ。



「しかし久し振りにアッシュの姿を見たが、やけに意気消沈していたな」
「来る途中にルークについてもう口にすることも望まれないと話をしたらあの様子になっただけです。特に陛下が気になさる事ではありませんよ」
「ほ~・・・まぁそうだな」
・・・それで部屋にいた孔明達だが、最早グランコクマに来る度に恒例となっているピオニーの部屋の来訪に普通に対応していた。皇帝陛下が客室に気軽に来ることにつっこむ必要など今更ないとばかりに。









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