軍師と女忍、核心へ

・・・アニスとその両親であったタトリン夫妻との話し合いが済み、孔明達は以降はダアト内での仕事に精を出して時間を有効に使った。そして頃合いと見た孔明達はルークを除いた一行をイオンの部屋へと集めた。



「・・・さて、こうして皆様に集まっていただいたのはそろそろ頃合いと見たからですが・・・どうですか、と言いたいのですがその調子ならアッシュへの誤魔化しにはちょうど良さそうですね」
「っ・・・」
・・・それで全員集まったのを見て孔明はナタリアに視線を向けて頷くのだが、納得されるのは不本意といったような表情を見せつつも否定を返せなかった。色々とナタリアが消化しきれなかったのは確かな事実であり、表情にも出てしまっているために。
「では早速出発したいと思いますが、何か話があるならバチカルに向かう道中にてお願いします」
そうした言葉を残して平然と孔明はバチカルへ向かうと切り出す。大してナタリアの事など気にしていないといったように。









・・・そうして孔明の言葉通りに一同はダアトを出てアルビオールに乗り込み、一路バチカルへと向かうべく飛び立った。



「・・・すみません、少しよろしいでしょうか・・・?」
「いかがされましたか、ナタリア様?」
それで空を飛び立って少しした所で孔明の向かい側に座っていたナタリアは、通路を挟んで隣にいた孔明に力なく声をかける。
「その・・・話によれば丞相達はバチカルに戻った後にその、ルークを連れて行動されるとの事ですが・・・私も連れていってはいただけませんか?」
「・・・何故いきなりそのようなことを?」
ナタリアが切り出したのは自分も共に名前を複雑そうに言いながらもアッシュと行きたいといった要望で、孔明は少々目を細めつつ発言の意図を問う。
「・・・確かに私は気持ちとして、落ち着いてはいませんしそれが望まれていることはよく分かっています・・・ですがそれだけでいいのかと思ったのです。ただそうして甘えるだけで良いのかと・・・」
「成程、自分の気持ちとしてどうにか役に立ちたいということですか・・・ですがその願いは書き入れられません」
「なっ・・・何故ですか!?」
ナタリアは自分の中での気持ちはいかがなものかを苦心と共に語っていく・・・のだが、孔明がそう聞いてあっさり連れてはいかないと返したことに思わず声を大きくする。
「簡単に理由をいくつか挙げるならまずはインゴベルト陛下を始めとした皆様の許可を得ていないことに許可をしていただけるかが怪しく、また我々としても是が非でも貴女に付いてきていただきたいと思うような理由がないこともありますが・・・何より彼と共に行くことが貴女の為にも彼の為にもなるとは思わないからです」
「え・・・?」
「バチカルに戻ってよりの貴女方については又聞き話ではありますが、陛下達からお聞きしています。その時の事を聞いた上で我々と共に付いてくる姿を想像すると、良くない結果になることは想像に難くはありません」
「よ、良くない結果になる・・!?」
そのまま簡単に孔明は話をしていくのだがナタリアはその話口に今までの事もあるからこそ、不安げな様子を隠すことも出来ずにどういうことかと漏らす。話を聞きたくないといったように。









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