軍師と女忍、決意を見せる

「ただ私としてはそうして預言によりこの相手と結婚してはいけないだとか後悔するといった中身ならまだしも、人柄も何も考えることなく結婚するようにあったからそうする・・・といった姿勢はやはりよろしくはないと思っています。どちらか片方かどちらもに問題があった場合はどちらかかどちらもはともかく、最も不幸になるのはそんな者の下に生まれた子どもというのが大抵の結末です。勿論問題がある人物が結婚してはいけないと禁止をするつもりはありませんが、結婚という二人の人間の行く末を決めるものにこの言葉があるからと、簡単に人柄など考慮しない形で決定されるなどよろしいと言えることではありません。現にタトリン夫妻のように仲睦まじくなる人々もいれば、預言に詠まれたから結婚したのにどういうことだと言ってきた人もいました」
「え・・・預言に詠まれて幸せにならなかった人もいるんですか・・・?」
そんな和やかな空気が少し流れていたのだがここで孔明が結婚を詠まれた預言により幸せにならなかった者がいると聞き、ルークは意外そうに目を瞬かせる。
「過剰に相手に預言に詠まれたのだからもっと幸せにしてくれるだろうといった気持ちだったり色々と話を盛っていただろう人も中にはいたでしょうが、それでもそういった人々がいるのは確かですし今もそういった預言に対する不満を抱く瞬間に立ち会っている人がいる可能性は十分に有り得ます。ただそういった声に関しては預言は貴方に試練を課したがそれを乗り越えられたなら幸せが訪れる・・・といったお決まりの文言を口にした上で納得してくれるならそれで良しで終わり、納得しないなら強引な手段を用いることも辞さない事態になったことも決して少なくはありません」
「なっ・・・そんな風になったのに、そんなことをするなんて・・・!」
孔明は事実だと返した上でいかな事を教団の人間がしてきたのかを述べると、戦慄をしたというようにルークは顔色を悪くした。
「預言の信望者であり特にユリアシティに近しい者達にとって預言は正しいものであるという認識になってこそであり、アクゼリュスやホドを人がいるにも関わらずに滅ぼすと選べた事から分かるよう、預言により犠牲者が出ても自分が関わりさえしなければそれが当然だといったような考えをしている者は残念ながら多数存在しています。無論教団のそういった暗部に関してを知る者は限られていますし、そういった闇での行動があったからこそ預言により不都合に不利益をもたらした人々が陰で泣いてきた訳ですが・・・そういったローレライ教団にユリアシティのやり方を踏まえた上で行動してきたのが謡将になるんです」
「師匠が・・・」
「同情的な気持ちになるくらいは別に構いません。ですがいくら謡将と彼に真から付き従っていたラルゴを始めとする兵達がそのような理由があったと言っても、今までに起こしてきた行動を正しいだなどと認めるような事はしてはなりません・・・例え義憤だといった耳障りのいい言葉を使ったとしても、今までに謡将達の起こした行動は預言や教団に関わりのない人までもを巻き込んでいった犯罪行為です。被害者が自分の復讐の為なら関係無い人々を巻き込んでも何ら問題はない・・・というように許してしまえば、それなら復讐という大義名分を無理矢理にでもでっち上げれば何をしても構わないという修羅のはびこる世界にしかならないのは目に見えています」
「っ!・・・修羅、ですか・・・」
そこで孔明は更に話を進ませる中でヴァンの事を引き合いに出したのだが、そこで出てきた修羅との言葉にルークは苦々しげに顔を歪めるしかなかった。気持ち的に擁護したい部分もあるが、やってきたことも踏まえればそれは許されないしそんな殺伐とした世界を見たくはないと言ったよう。









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