「それでは早速ですが、現在貴殿方の様子はどうなっていますか？」
「まぁ表向きはそう大した事はないですよ。導師を思ったように拐う事が出来ず、外部の者である漆黒の翼の手を借りてまで動く事を選んだんですから進展はそこまでありません」
「そうですか・・・では貴方の目から見て、アッシュは現在どういった考えであるように見えますか？貴方の考えで構いませんので、答えてください」
「・・・どういった考えですか・・・」
孔明はそこから情報を聞く中でアッシュの名前を出すと、ディストの表情は面倒臭そうに歪む。
「・・・あくまで私の考えで言うなら、アッシュには大した考えはないと思います。見た印象としては遅々として進まない状況に単に苛立ちを感じ、その気分を晴らそうと当たり散らす程度に私にこちらに行けと言ったと思われます」
「では彼の行動は謡将に改めて付いていくと誓う物ではないと？」
「えぇ謡将に対する気持ちは複雑ながら存在はしても、彼に付き従うつもりがないのは明白です。彼からすれば私達と共にいるのは雌伏の時といった時間のつもりなのかもしれませんが、やっていることは単なる八つ当たりでしかありませんよ・・・」
「・・・ご苦労様です、ディスト」
そのままの表情でアッシュについてを話すディストなのだが、明らかに面倒事を吹っ掛けられたと愚痴る様子に孔明も単純に労いの言葉をかける。
「ただ、そういうことであれば彼が謡将から離反するであろうことは規定路線になりそうですね。そしてその時期がいつになるかとなると、まず謡将がルークを用いる時・・・と言った所でしょうね」
「・・・何故そこだと言えるのですか？」
「そこを逃すとどこで離反するのかの絶好の時期がいつ来るか分からなくなることもありますが、謡将に不審を持つアッシュがむざむざとルークが利用される時を個人的な気持ちの高ぶりもあって見逃すとは思えません・・・まぁ後者に関してはあくまでアッシュの心情を想像しての物ですが、前者に関してはアッシュも薄々は感じているとは思います。もしその時を逃してしまったならまず謡将の一味の中の代表格の人物の一人として名を上げられ、単に離脱してももしかしたらその一人として見られていることで追われる立場になり得るかもしれない・・・という事を」
「成程・・・確かにそうなればアッシュにとって厄介極まりありませんね。勝手な疑いをかけられた挙げ句に攻撃などされたらたまったものではありませんから。ただそうなると、我々の立場もまた微妙な所になると思いますが・・・」
「その辺りについてはかねてより話していたようにしていただければ大丈夫ですよ。私が貴殿方を擁護致しますから。ただそれでアッシュと一緒と言った立場にはしませんし、あちらも願い下げでしょうからそこについては安心をしてください」
「そう言っていただけるとありがたいです」
それですぐに空気を切り替えアッシュの行動についてを予測する孔明に、ディストはその中身にまた別の不安を抱くがそうはさせないと言い切るその姿にホッとしたような笑顔を見せる・・・その中にルークを用いると言ったことや、アッシュについての不穏な発言を当然の物としながら。
「それでは今度はこちらから質問してよろしいですか？丞相側の話もこちらとしては聞きたいので」
「えぇ、構いませんよ」
そのままディストは話題を孔明達の方にと移行したいと言い、当人が頷いた事で話を始める・・・










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