軍師と女忍、決意を見せる

「・・・大丈夫か、アニス?」
「・・・覚悟はしてた。だから大丈夫って言いたいし、結果も予想出来るけど・・・ちょっとごめん、二人が戻ってくるまで黙っててもらえるかな・・・?」
「・・・あぁ、悪い・・・」
そうして二人になった所でルークが気を使って声をかけるが、申し訳なさそうに力なく返ってきた言葉に頷くしかなかった。今のアニスにはそこまで余裕がないという事がよく分かるために・・・









・・・そうして二人が孔明達が戻ってくるのを待って一時間程待ったところ、孔明達が戻ってきた。
「・・・お待たせしました」
「・・・早く、終わったんですか?もう少しかかるかと思っていたんですけど・・・」
「・・・そうですね、話自体はすぐに終わりました。むしろ二人がどこにいるのか探す方に時間がかかったくらいです」
「・・・そう、ですか・・・」
孔明が珍しく重く帰還を口にしてアニスが早さを気にすると、説得に時間はかからなかったと返したことにまた苦い面持ちを浮かべる。
「・・・まぁ結果は分かってるだろうけど、二人は私達の言葉をすぐに飲み込んだよ。もうそれはアッサリと」
「・・・この流れで聞くべきじゃないって思いますけど、ごねるって言うか残念がるって言うかそういった様子って・・・」
「無かったね・・・多分とかそんなんじゃなく言われたことの大半は鵜呑みにするだけで、これからもアニスとの縁は切れてないって考えてるだけだろうし・・・言い方はなんだけど、痛い目を見ると言うか取り返しのつかないことになっても大丈夫って言いそうだし・・・」
「・・・せめてそれにアニスが巻き込まれなくなった事が、まだいいことだってことですか・・・」
「そうとしか言いようがないんだよね、本当に・・・」
それでくのいちが仕方無いといったように結果を告げるのだが、あっさりし過ぎた結果があったこともあってルークも共に表情を暗く重い物にする。
「・・・っ、ぐすっ・・・!」
「っ・・・アニス・・・!?」
・・・そんな時にアニスが涙を流し泣き声を上げだしたことに、孔明を除き二人は慌ててアニスに駆け寄る。
「・・・分かって、ました・・・二人なら、そうなるだろうって・・・でも、でも・・・ちょっとは考えてくれても良かったと、思ったのに・・・!」
「アニス・・・」
・・・今まで溜め込んで我慢していた想いが決壊してしまったのだろう。腕で涙を拭い嗚咽の声を上げだしたことに、二人は複雑そうにその様子をみつめる。
「・・・アニス、下手な言葉をかけることは出来ませんがせめてここで泣いてください。今の私が出来ることはそれくらいです」
「っ!・・・お父、さん・・・うわあぁぁぁぁぁぁっ・・・!」
ただここで一人残っていた孔明がアニスに歩み寄りそっと体を引き寄せながら遠慮なく泣くように言うと、アニスは我慢ならなくなったとばかりに大声を上げて孔明の胸の中で泣き出した。今までの分を全て吐き出すかのように・・・









・・・そうして数分程すると、ようやくアニスが孔明から身を離した。と言ってもまだ泣き跡は顔に残っていて、目は赤いままであるが・・・
「・・・ごめんなさい、お父さん・・・服を汚しちゃって・・・」
「これくらい構いませんよ。それにこうして父親らしいことが出来る機会は立場上あまりありませんからね」
アニスは目をこすりながら頭を下げるが、孔明は到って気にしてないと笑顔で答える。親としての自覚のある顔を見せるように。









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