「そのようなことにならないようには勿論言わせていただくようにはします。ですが物事に絶対はありませんし、あの二人の性格と思考様式について考えると尚更に大丈夫だと言える物ではありません・・・ですのでアニスに心苦しいと思う部分が未だにあるのは分かってはいますが、後々の為にあの二人との縁は切らせてもらいます。向こうは養子に渡したとは言え自分達の子である事には変わりはないと思うでしょうが、もう二人の考え無しの行動の影響に尻拭いをアニスがしないようにするために」
「・・・こう聞くと身元を引き受けた丞相に奥さんがこうやってアニスの事を苦労させないようにってちゃんと考えてるのに、どうして本当の両親はそういったようにアニスの気持ちや言葉について考えないのかが不思議に思います・・・」
「そこについちゃね～・・・自分達がこうなんだから娘のアニスもこうして大丈夫だなんて思い込んじゃってるのが何より面倒な所なんだ。言葉がなくても愛情は注いでいるし、自分達の娘なんだからって理由にするにはあまりにも盲目な信頼を勝手に向けてそうするって形でね。ただもうそれも終わりにする時が来たってこと・・・例え二人が以降にどんなことになろうと、娘の必死な言葉を聞かずにいた事への報いを受ける形でね」
「・・・そうなんですか・・・」
・・・孔明とくのいちの両者ともに迷うことのない強い意志を受け、ルークはただそう受け入れるしかなかった。二人が本気で親としてアニスの事を想い、そして本当の両親であるタトリン夫妻を以降の為にアニスに関わらせまいとしていることに。
「・・・取りあえずここでの話は以上にしておきます。今から二人の元にくのいちと向かおうと思いますから」
「えっ・・・アニスは連れていかないんですか？」
「あの二人がアニスがいないならこの話は納得出来ないと言い出すような方々なら多少の揉め事をアニスに覚悟していただいた上で連れていきますが、あの二人は基本的に人を疑うようなことはしませんしましてや私の言うことなら間違いないと鵜呑みにすることは目に見えています・・・そして何より、あの二人のそのような姿をアニスに見せる方が酷だと思っての事です」
「っ・・・！」
そうして自分達だけで二人の元にと切り出した孔明に何故とルークは聞くが、返ってきた答えにハッとした・・・親としての意地であったり考えがあって行動する方がアニスの立場としては嬉しいだろうが、十中八九どころではなく簡単に孔明達の言うことに従う・・・そういった予想がルークにもすぐに出来た為に。
「・・・そういう訳ですのですみませんが、ルークはアニスと共にこちらで待っていてください。結果については話をし終わったなら戻ってから教えますので」
「・・・俺に教えてもいいんですか？」
「アニスもこうなることを感じた上で貴方をここに付いてきてもらったのでしょう。それに誰か共にいていただいた方がアニスの気も楽になると思いますから」
「・・・分かりました。俺はアニスと一緒にここにいます」
「ありがとうございます。ではくのいち、行きましょう」
「はいよ～」
そうして孔明はルークにアニスと共にいるように頼み、二人は部屋を後にしていく。暗い面持ちを浮かべるアニスに、そんなアニスを心配そうに気にかけるルークを残して。









.