軍師と女忍、決意を見せる

「一応は対策というか、アニスを含めてこちらに険が及ばないようにとは色々と二人には言わせていただきます。あの二人なら私や導師の言うことならと普通に考えれば守ってくれると思ってはいますが、懸念される材料があります。それは預言を詠まなくなった事により、二人の心境に変化が現れる事です」
「心境の、変化?」
「二人に限ったことではありませんが、頼るべき物を無くした人の心とは折れやすくもろい物になります。その点で最初の内は我々からの発表を行った後でも、まだ預言の復活は有り得ると見るでしょう。ですが時が経つにつれてそのようなことにはなり得ないと思うようになれば、預言の復活を切に願い我々に嘆願を向けるか諦めるかのどちらかになると思われます。そしてあの二人なら激しくないながらも嘆願をしてはくるでしょうが、それも我々からの拒絶を受け続ければいかにあの二人でも諦めざるを得なくなるでしょう・・・そしてそうなれば今のままの二人でいられると思いますか?預言という今までの自身達を支えてきたものにすがれなくなる状態になることでです」
「・・・俺個人の意見で言うなら、実感が湧けば湧くほどにそうなるとは思います・・・そして多分誰かの助けがなかったら、いい方向に二人はいかないんじゃないかとも・・・」
そこで孔明が心境の変化についてを口にして支えが無くなった人はどうなるかとルークに聞くと、実感が多大にこもった苦いといった気持ちをこめた言葉を口にする。自分や同じ考えの者だけでは助からないだろうと。
「そうなるでしょう。ですがあの二人にとって助けとは預言があることであり、今の形のローレライ教団が存在することになります。ですがそうしないと決めて動くとなっている状態でその助けの手をやるわけにはいきません・・・そしてそういった事態が続いたなら、心境の変化が起こりかねないのです。そして最も有り得てはならない変化として考えられるのは、今までに頼りにしてきた預言以外のこと・・・つまりは今まで以上に人の役に立ちたいとでも考え、今まで以上に借金を行う可能性を私は危惧しています」
「それって・・・」
「自我の確立と言うものは誰でも出来るように見えて案外難しい物ですが、自分以外に拠り所があってそれが主体になってしまっている人は尚更です。その点で二人は預言という拠り所が無くなったなら、せめてこれからは今までより一層に人の役に立てるようになりたい・・・そういったように考え、今まで以上に考えなしに借金をしてしまう可能性が有り得ます。自分達はこうあるべきだと思って」
「・・・そんなことになったら・・・」
「流石にダアトに置いておくわけにはいきませんし、以降の事を考えれば追い出さねば先程に言ったような事になりかねません・・・あくまで今のは可能性についての話をしましたが、決して大げさとは言えないでしょう」
「っ・・・!」
その上でいかに二人がよくない行動を取るかについての可能性についてを孔明から聞かされたルークは、また苦さを滲ませた表情を浮かべる。話を聞くだけでもあまりに物事を考えていない事もあるが、それをアニスがいる前で大丈夫だなどと否定が出来ないということに。









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