軍師と女忍、まとめる

「・・・ただこうして話を聞くと、ナタリア様は何も知らない方がいいのか知った方がいいのか・・・どちらの方がいいのか分かりませんね・・・」
「知ることは全て気持ちのよいことばかりとは限りませんし、かといって知らないことが幸せかと言えばそうではありません。強いて申し上げるのであれば、見たくないだったり知りたくないといったものを目を塞いだり遠ざけてられてきた物がナタリア様の性格に周囲の環境から多かったことでしょう。惜しむらくはナタリア様が清濁併せ飲むのではなく、清だけを飲んで濁を飲まないような経験ばかりをしてきた事が災いだったのでしょうね。今までのあの方自身が起こしてきた事を考えれば」
「・・・知る知らないの問題以前の事だったと言うことですか・・・」
そんなナタリアに対してフリングスはどちらがいいのかをふと漏らすが、孔明からの答えに何とも言いがたそうな表情になる。ナタリアはあらゆる意味で準備が出来ていなかったからこそ、どちらでも大して変わりはないといったように言われて。
「どちらにせよ、あの方にはもうこれ以上何かを背負っていただくことは様々な点から見てあまり望ましいことではありません。ですのでアッシュに思い込んでもらうためにも、ナタリア様にも思い込んでいただいた方がよろしいでしょう。もうこれで自分のやることはない、丞相達は自分を気遣ってくれるだけだというように・・・」
「・・・そこでも先程申し上げたプラシーボ効果というものですか・・・もう何もないと思いこませることで、それ以上先があるとは見せない為に・・・」
「えぇ。これ以上ナタリア様が何かを知った所で色々と無理が生じるのは確かであり、また出生を始めとして知ってはならぬ事も存在します。この辺りが妥当な所です」
「出生っ・・・!・・・確かにそうですね、ここでナタリア様の為にもこの辺りで終わらせるべきでしょう・・・」
そうして孔明がまとめに入るように出した中での出生との言葉に、フリングスは痛ましげになりながらも頷くしかなかった・・・ナタリアが本当のインゴベルトの子ではない事を当人に明かさないようにしたのに、それを今更あの姿を見た後で知らせるような事にはしたくないといったように・・・









・・・そうしてフリングスも少し気持ちを落ち着かせてもらおうということで一先ずは話は終わり、孔明達は数日ダアトに留まる事になった。そして滞在する時間で、ある人物に転機が訪れる・・・









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