軍師と女忍、まとめる

「まず最初に言えることは貴女の現在のキムラスカの上層部における心象を良くする為にです。確かに今までの事を考えれば大人しくした上でちゃんと公務に務めることは第一には来るでしょうが、現在のキムラスカにおいて王族の血を引く存在は貴女とアッシュを除けば三人・・・インゴベルト陛下に公爵にシュザンヌ夫人です。ただシュザンヌ夫人は年齢以上に元々体が弱く子どもを作るにはあまりにも体に無理がかかりすぎ、とても母子ともに健康な状態で子どもが産まれてくるとは思えません。と言っても残り二人の王族のお二方も年齢的な問題もありますが、それよりも立場として子どもを作るには風聞的にはあまりよろしくない状態にあり、公爵に至っては夫人がいる以上は不貞行為を少なからず批難される事は避けられません」
「・・・だからもしもの事にならないようにするためには、私と彼が子どもを作る以外にないと・・・」
「そういうことになりますが、ならばと子どもは跡継ぎ一人いればそれでいいというのはキムラスカの王族の存続を考えるならあまり利口な選択とは言えません。まず第一にその跡継ぎとして産まれた子どもが女性であるなら次代の子を成す際にどうしても公務の滞りが出てきますし、何より男女に関わらずその一粒種とも言える子どもが何らかの事故や病などといった不測の事態で亡くなるような事態になれば、その時点でキムラスカ王族の断絶という憂いの目にあう可能性が非常に高くなります。ですので望ましいのはお二方の努力次第ではありますが二人かそれ以上の数の子どもを成し、次代のキムラスカ王族を増やすことにあります。それらはお分かりになりますか?」
「はい・・・そう考えれば確かに子を成す事も王族、いえ私の務めなのですね・・・」
「そうなりますが、子どもを成すよりも公務の方が大事だと言ったような気持ちを持たれることはあまり望まれません。年齢を重ねれば子どもを産むにも母体に負担がかかりますし、次代の子を増やしたいと考えるインゴベルト陛下達にとってもあまり望ましい事態ではありません。有り得る可能性としては彼に次代の為だと妾を作り子を成せと命じられ、お二人が拒否を許されない状況になるということも有り得るでしょう」
「なっ・・・!?」
そうして孔明はいかにキムラスカにとって子作りに重要性があるかを語っていくのだが、とある可能性を聞いて今まで神妙に話を聞いていたナタリアは青ざめた様子で絶句した・・・アッシュが自分以外の女を作らされ抱かなければならないということを、拒否権すら認められない状態も有り得ると聞かされ。
「無論、これはあくまで最悪の可能性を申し上げているだけで確実にそのような事になるとは限りませんが・・・キムラスカの王族がそのような危機に陥りかねない事情を考えることに加え、先の会談により預言でこういうことは詠まれてないからやってはいけないといったような考えになることはもう有り得ません。肝心の預言はもう詠まれなくなっていくのですからね」
「っ・・・預言はもう関係無く考えられるなら自由に自分達の考えでやっていいと思うというから、ですか・・・」
「えぇ。ですので彼が即位するのがいつかは分かりませんが、そういったキムラスカの事情も併せて考えれば決して次代の為にと手段を選ばない手を用いることも決して有り得ない訳ではない・・・私はそう見ています」
「っ・・・!」
だが更に決して否定は出来ないとその材料についてを述べていく孔明に、ナタリアは否定が出来ずに苦い顔になるしかなかった。キムラスカの事情を考えれば全く有り得ない話ではないと、そう感じたと言ったように。









.
12/18ページ
スキ