軍師と女忍、まとめる

「お待ちしておりました、ナタリア様。インゴベルト陛下を始めとした皆様方には挨拶をされた上でこちらに参られましたか?」
「・・・はい、ちゃんと丞相の言うことに従うようにと言われて・・・」
「結構。では早速ケセドニアを出てダアトに向かいましょう。あまり人のいない内に早めに出た方が騒ぎにならないでしょうからね」
「・・・」
そんなナタリアと屋敷の入口で会い簡素に話を進める孔明に対し、ナタリアの表情は暗く優れない物から変わることはなかった。









・・・それでナタリアとマルクト側から戻ってきたジェイドとフリングスが加わる形で一行はアルビオールに乗り、一路ダアトに向かう。



「・・・話には聞いてはいましたが、このような乗り物が開発されていたとは・・・」
「創世歴時代の遺産の音機関があればこそです。今は我々がインゴベルト陛下より貸し出しの許可をいただいていますので操縦士のギンジ殿共々こうして利用させていただいていますが、いずれはキムラスカとシェリダンに返却をすることになっています。ただその時にナタリア様がこのアルビオールに自由に乗ることはおろか、バチカルから出ること自体そうそう望まれないでしょうね」
「え・・・ど、どうしてですか・・・?」
それでアルビオールに乗ってしばらくして最前列の座席に座るナタリアはしみじみとアルビオールのすごさを感じた言葉を口にするが、隣に座る孔明が今だけしか自由はないだろうと口にしたことに動揺を隠せずに理由を聞く。
「単純な話として、現在のナタリア様をキムラスカの外に出そうという考えをインゴベルト陛下を始めとした方々が持たれるとはまず思えないからです。今回の件に関しては例外という形で殿下は外に出てはいますが、アクゼリュスに命を無視して向かった前科を考えれば簡単に殿下を自由に行動させるようにするとは思えません。ですので簡単には殿下はアルビオールでもですが、船でも辻馬車でも以降はバチカルを出ることはそう簡単には出来ないでしょうし、我を通そうとしてしまえば今度はより苛烈な処分が下される事はまず間違いないでしょう」
「・・・っ!」
孔明はその訳についてを軽く説明していくのだが、その中身にナタリアはすぐに引いたように息を呑んでしまった。今でもあまりナタリアにとって気持ちよくない状態であるのに、それ以上が有り得ると聞いてしまい。
「それにこれからの事を考えるなら、殿下の役目は公務以上にやるべきことだと望まれる事があります。その事からあまりバチカルから離れることは望ましいことではないと思われるでしょう」
「え・・・そ、その役目とは・・・?」
「単刀直入に申し上げるなら、子作りです」
「こっ・・・子作り・・・!?」
ただ続けて別の理由があると孔明が子作りと直球な言葉を使ったことに、ナタリアは重い表情を一瞬にして真っ赤に恥じらいを浮かべた物に変えた。
「先に誤解のないように申し上げますが、下世話な話としてこのような事を申し上げている訳ではありません。むしろ政治的な思惑もありますが、貴女方の立ち位置をある程度確立したいからこその話であり殿下にとっても今後の命運を左右することです」
「え・・・?」
だが生娘みたいな反応を求めてはいないと真剣に今後のナタリアにアッシュの二人に関わると孔明は言い、ナタリアは瞬時に赤くなった顔色が戻り不安げな表情になる。









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