軍師と女忍、まとめる

「ただどちらにせよ、これで後は仕上げに入るだけだが・・・ナタリア様は明日に連れていくのだろう?」
「はい、そのようになっていますので明日になったならナタリア様を出迎えに参る方がよろしいですか?」
「いや、ナタリア様には単独でアスターの屋敷に向かってもらうのでその心配は不要だ。我らがそちらに行くにしてもそちらがこちらに来るにしても、悪目立ちをする可能性があるのでな。それならナタリア様に一人で屋敷に向かってもらった方が良いだろうからな」
「分かりました。丞相にはそう伝えておきます」
そんな空気から話題は予定通りにナタリアを連れていくことに行き、そちらに向かわせるとの公爵の気遣いにくのいちは頭を下げる。
「・・・済まなかったな、わざわざ呼び出して。もう言いたいことは終わった。戻ってくれていいぞ」
「では俺達はこれで失礼します・・・今までありがとうございました、父上」
「・・・うむ」
そしてこれで終わると公爵が言うとルークは最後と神妙な顔付きで頭を下げ、公爵もまた神妙に頷いて返し二人が出ていく姿を見送った。



「・・・最後の別れはどうだった?」
「・・・まぁ覚悟はしてたしな。欲を言うなら母上にも挨拶はしたかったって気持ちはあるけど、それは出来ないしな・・・」
「まぁ仕方無いですって、そいつは。その分はあっしらが補ってくんで、我慢するって事で」
「ありがとな・・・」
それで領事館から出て屋敷に戻る途中でくのいちから話し掛けられ、ルークは覚悟はあったと神妙な顔付きにまたなって答え気遣いの言葉に軽く目を瞑りつつ答える。
「・・・成長したっすね、ルーク。今の姿を見て昔を思い出すと、本当にそう感じるよ」
「自分で成長なんて言えるとは思えねぇんだけどな・・・まぁ前よりはマシにはなったとは少しは思うよ。ホント、感謝してるよ。お前ら・・・いや、丞相に奥方達に行動してもらってなかったどうなってたか分かったもんじゃなかったから・・・」
「およ?改まった呼び方をしてどうしたんで?」
「・・・あんな風に父上から話をされて、このまま世話になるってのに偉そうな口調を続けていいものかって思ったんです。いきなりで気持ち悪いかもしれないですけど、ケジメくらいつけなきゃって思ったんで・・・」
「ケジメね・・・いいと思うよ。気持ちの切り替えをしたいならね」
くのいちがその姿に感心していた時にルークが口調をただして態度も一新してきたことに疑問を呈するも、真剣な様子でちゃんとした理由が返ってきた事に優しい笑顔で返す。それでいいと。
「・・・ま、取り敢えず戻ろっか。後は旦那様に報告して休めばいいだろうしね」
「はい、分かりました」
そんな笑顔のまま戻るように言うくのいちに、ルークも態度を変えずに頷き二人で屋敷の方に戻っていく。









・・・そうして屋敷に戻ったルークは孔明に話をし、態度を変えることを実際に見せるとその姿に柔らかい笑顔を浮かべて受け入れる事をすんなりと了承した。

この辺りはルークも少し意外な様子ではあったが、そういった孔明の理解力にありがたいという気持ちもあったためにそれ以上は特筆するべき事もなく、以降はそういった態度になるということで話は済んだ。



・・・そして翌日、孔明達の元にナタリアが来たとの事から一同は屋敷の入口へと向かった。









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