軍師、暗躍と飛躍
「ただそうなるとどうするかね・・・」
「何かあるのですか、用事でも?」
しかしすぐに女が表情を困らせた事に孔明はそうなる理由を問う。
「いや、さっき私達に神託の盾が依頼してきたのさ。隙を見て導師の事を誘拐してくれないかってね」
「神託の盾が、ですか・・・」
「まぁ私らも独自の情報網を持ってるから、丞相っていうか導師達を追ってきた側の神託の盾だってことは知ってるさ。だからこそちょっと悩むんだよね・・・本当にそうしていい物かね・・・」
「・・・いえ、そちらに関しては引き受けてください」
「え?いいのかい?そんなことして」
その理由について依頼にあると話す女は受けるべきかと言うが、まさかの孔明からの了承に意外そうに表情を揺らす。
「えぇ。ちなみにお聞きしますが、このケセドニアで事を起こすつもりはありませんね?貴女方も」
「ま、そりゃね。私らの主な活動拠点はここだから、下手に目をつけられてもこっちからしたらやりにくくなるからね。だからやるならバチカルでって条件はつけさせてもらったんだけど、丞相はそれも読んでたってのかい?」
「えぇ、まぁ。貴女方の立場を考えればそのくらいの条件は出しているとは思いましたから」
「・・・やっぱりすごいね、丞相は。でもそれがどうして導師を拐うことを許可したのかについてはまだ聞いてないけど・・・」
「そうでしたね」
その理由を孔明特有の先読みを持って話す様子に女は感心した後に、改めて理由を聞きたいと問い直す。
「まぁ簡単に理由を話しますが、私はバチカルに行った後にすぐにダアトに戻ります。今後の為にもね・・・私はこれから起こるであろう事件に関して、直接関わりを持てません。ですから貴女方にはくのいちやリグレット達を補佐していただきたいのですが、あまり距離が離れるとどうしようもないのですよ」
「・・・成程、それで神託の盾に協力していると見せて平行する形でリグレット達を手助けするって段取りにするわけかい。だから導師を拐ってもらっても構わない、と」
「謡将の元々の目的もありますが、リグレット達がいるなら導師の命が危険に晒されることはないでしょうからね。むしろ貴女方がその依頼を断った場合、事態がどう転ぶか予想がつきにくくなります。主に導師を拐おうとする時に周りに及ぼす被害がどれだけの物になるかという意味でね」
「あぁ、もしアッシュにでもその役目が回ってこよう物なら確かにどうなるか分からないね」
「そういうことです」
その上でイオンが拐われてもいい理由についてを従者としての立場も気にせず話す孔明に、女もまた納得する。もしもアッシュが動いた場合の危険性が高いことについてを。
「ですからノワール・・・貴女方に動いていただいた方がこちらとしてもありがたいですし、何よりもリグレット達と直接接触出来る機会があると思えるのでそちらの方がありがたいのですよ」
「まぁそういうことなら分かったよ、そうさせてもらうさ。ちなみに、丞相の兵士達はもう動いているのかい?」
「カイツールの港で指示の手紙を出しておきました。今頃はもう目的地に向かっているでしょうが、彼らなら私の望むような成果を挙げてくれる事でしょう」
「・・・ホント、手際が良すぎるね。毎度の事だけどさ」
「誉め言葉として受け取ります」
そんな中で名前を呼ばれた女・・・ノワールは了承を返すが、兵士達について聞くと抜かりないと淡々と返す様子にまた呆れたようになりながらも感心の声を上げる。
「・・・んじゃそろそろ私らは行かせてもらうよ。聞きたいことは聞き終わったし、もう出発しないと間に合わなくなりかねないからね」
「えぇ、ではまた会いましょう」
それで気を取り直し簡潔に行くと言い出すノワールに孔明は特に引き留めることなく別れを告げ、三人が場を後にしていくのを見送る。
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「何かあるのですか、用事でも?」
しかしすぐに女が表情を困らせた事に孔明はそうなる理由を問う。
「いや、さっき私達に神託の盾が依頼してきたのさ。隙を見て導師の事を誘拐してくれないかってね」
「神託の盾が、ですか・・・」
「まぁ私らも独自の情報網を持ってるから、丞相っていうか導師達を追ってきた側の神託の盾だってことは知ってるさ。だからこそちょっと悩むんだよね・・・本当にそうしていい物かね・・・」
「・・・いえ、そちらに関しては引き受けてください」
「え?いいのかい?そんなことして」
その理由について依頼にあると話す女は受けるべきかと言うが、まさかの孔明からの了承に意外そうに表情を揺らす。
「えぇ。ちなみにお聞きしますが、このケセドニアで事を起こすつもりはありませんね?貴女方も」
「ま、そりゃね。私らの主な活動拠点はここだから、下手に目をつけられてもこっちからしたらやりにくくなるからね。だからやるならバチカルでって条件はつけさせてもらったんだけど、丞相はそれも読んでたってのかい?」
「えぇ、まぁ。貴女方の立場を考えればそのくらいの条件は出しているとは思いましたから」
「・・・やっぱりすごいね、丞相は。でもそれがどうして導師を拐うことを許可したのかについてはまだ聞いてないけど・・・」
「そうでしたね」
その理由を孔明特有の先読みを持って話す様子に女は感心した後に、改めて理由を聞きたいと問い直す。
「まぁ簡単に理由を話しますが、私はバチカルに行った後にすぐにダアトに戻ります。今後の為にもね・・・私はこれから起こるであろう事件に関して、直接関わりを持てません。ですから貴女方にはくのいちやリグレット達を補佐していただきたいのですが、あまり距離が離れるとどうしようもないのですよ」
「・・・成程、それで神託の盾に協力していると見せて平行する形でリグレット達を手助けするって段取りにするわけかい。だから導師を拐ってもらっても構わない、と」
「謡将の元々の目的もありますが、リグレット達がいるなら導師の命が危険に晒されることはないでしょうからね。むしろ貴女方がその依頼を断った場合、事態がどう転ぶか予想がつきにくくなります。主に導師を拐おうとする時に周りに及ぼす被害がどれだけの物になるかという意味でね」
「あぁ、もしアッシュにでもその役目が回ってこよう物なら確かにどうなるか分からないね」
「そういうことです」
その上でイオンが拐われてもいい理由についてを従者としての立場も気にせず話す孔明に、女もまた納得する。もしもアッシュが動いた場合の危険性が高いことについてを。
「ですからノワール・・・貴女方に動いていただいた方がこちらとしてもありがたいですし、何よりもリグレット達と直接接触出来る機会があると思えるのでそちらの方がありがたいのですよ」
「まぁそういうことなら分かったよ、そうさせてもらうさ。ちなみに、丞相の兵士達はもう動いているのかい?」
「カイツールの港で指示の手紙を出しておきました。今頃はもう目的地に向かっているでしょうが、彼らなら私の望むような成果を挙げてくれる事でしょう」
「・・・ホント、手際が良すぎるね。毎度の事だけどさ」
「誉め言葉として受け取ります」
そんな中で名前を呼ばれた女・・・ノワールは了承を返すが、兵士達について聞くと抜かりないと淡々と返す様子にまた呆れたようになりながらも感心の声を上げる。
「・・・んじゃそろそろ私らは行かせてもらうよ。聞きたいことは聞き終わったし、もう出発しないと間に合わなくなりかねないからね」
「えぇ、ではまた会いましょう」
それで気を取り直し簡潔に行くと言い出すノワールに孔明は特に引き留めることなく別れを告げ、三人が場を後にしていくのを見送る。
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