軍師と女忍、まとめる

「ではまだ何かなければ一先ずは話はまとまったものと見なして、会談は終わりとしますが・・・」
「それなら疑問がある」
「何でしょうか、ピオニー陛下?」
それで孔明が場をまとめて終わるような空気にしようとした所、ピオニーからの声がかかったことに何かと視線が集まる。
「ローレライの協力が得られたならと丞相は言ったが、もしその場合は丞相はどういった対応を取るつもりでいる?保険をかけると言うことだそうだが、もし良からぬ事から行動を起こそうとしていたならだ」
「・・・その事に関しては我々が責任を持ってローレライに対処を致します。彼の存在が悪意を広げぬよう、消滅をさせる形で」
「消滅、だと?教団の象徴とも呼べるような存在を殺すつもりでいるのか?」
「勿論あくまでも最終手段というだけで、必ずしもそうするとは限りません。ただ良からぬ目的を持っていたならということに加え、下手にローレライを捕らえて利用するだけ利用しようなどというような事は我々が存命中ならまだしも、そうでなくなった時に面倒になりかねない事態になり得ます・・・例として挙げるなら自分を解放するならその恩恵を授けるといったように言い、その甘言に乗ってしまう者がいてローレライを解放して取り返しのつかない事態を引き起こしてしまうと言った事態を」
「・・・ローレライが良からぬ目的を持っていた場合、そのローレライの力や預言に牽かれて解放する者がいてもおかしくはないということか」
そんなピオニーに対してローレライを消滅させると孔明は言い、未来に不安を残したくないといったように返すとピオニーも周りの面々も真剣な様子で頷く。確かにそういった可能性は有り得るといったよう。
「我々としてはプラネットストームの問題も含め、後の世代に禍根を残したくはありません。ですが預言が無くとも人々が大丈夫なようにまで時代が進むには世代がある程度進まねばなりませんが、我々がその世代にまで生きることはまず不可能ですし例え生きていたとしても老いさらばえた状態で事に当たらねばなりません。そういったことを考えればもしもの場合はローレライを歴史の影でひっそりと葬る方がよろしいと思っています」
「ひっそりと、だと?」
「公にローレライを消滅させたなどと喧伝するのはあまりよろしい事だとは私は思っておりません。もしその事を話してしまった場合は目的がこうだったと説明して納得は表向きは得られたとしても、ローレライという存在がいなくなったことに和解は出来なかったのかといったような疑念に不満は残ることでしょう。それならばいっそローレライがまだどこかに存在するかもしれないといったような淡い望みを抱かせるだけで済ませ、一部の我々だけがもうローレライはいないと知る形で済ませるべきだと思っています」
「じゃあ国に戻った後はプラネットストームを止めることは上層部で話はしてもいいとしても、ローレライに関してはまだ言わない方がいいのか?」
「はい。協力を願えるにしてもどれだけ協力していただけるかは確定してはいませんし、それこそローレライと敵対したとなればぬか喜びをさせることになりかねません。ですので我々がローレライの解放の報告に参るまではインゴベルト陛下も沈黙をお願いします」
「あぁ、そういうことなら分かった」
「うむ」
だからこそ結果次第でもあるが沈黙をしばらくしてほしいといったように話をする孔明に、ピオニーもインゴベルトも頷いて返した。迂闊にまだローレライの事を広めないと。









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